この記事の連載
東村アキコインタビュー #1
東村アキコインタビュー #2
“初恋”をテーマに選んだ理由
縦スク2作目の『わたおぼ』は、日韓同時連載かつ英語とフランス語でも配信されている作品。それを意識して、テーマも普遍的な“初恋”を選んだのだそう。
「最初のきっかけは、洗濯物を畳んでいるときに小学校高学年の頃に好きだった近所の小3の美少年を思い出したこと。私は2PMのチャンソンが好きなのですが、『どうしてあの顔が好きなんだろう？ 誰かに似ているんだよな……』と考えている時に思い出しました。人間って昔のことでもリアルに思い出せるものだなと、周りにリサーチしてみたら、みんな『5年生のときに好きだった子がこんなピン留めをしていて』とか事細かに映像で覚えているんです。これはイケる！ と確信しました」
連載母体となる電子コミックのプラットフォーム「カカオページ」の本社がある韓国に招待されたときは、役員が居並ぶなか、立ち上がって作品のプレゼンを行った。その行動力たるや！
「カミシモを分けて、落語のように初恋劇を披露しました(笑)。皆さんが大先生と思ってくださっていたと後から知りましたけど、こっちは韓国では名もなき新人のつもりですから、爆笑を取って『悪い人ではないと感じさせなくてはと』と。仕事って最終的には人と人との関わり合いですし、特にこの仕事は国を跨いでいる訳ですから、間に入る方たちがどこかで無理をしなければならない日がくるかもしれない。そのとき、『あの人のためなら』と考えてもらえるかどうかは大事なこと。よく『生み出す側は大変ですよね』と言っていただくのですが、大変なのは周りの方たち。私は好きなお話を描いているだけですから」
『私のことを憶えていますか』東村アキコ
ゴシップサイトの記者として忙しい日々を送る遥は、30歳になった日の翌朝、3歳下の初恋の男の子・こうちゃんを思い出す。ある時、俳優のSORAの子ども時代の写真がこうちゃんと酷似していることに気づいた遥は、取材でSORAと対面することに。遥に想いを寄せる幼馴染の猫作も加わった三角関係と初恋の行方は？
文藝春秋 各1,045円 既刊10巻
【特設サイト】
『私のことを憶えていますか 1』試し読み20ページを公開中！
https://books.bunshun.jp/sp/wataobo
2022.09.19(月)
Text＝Mao Yamawaki
Photographs＝Wataru Sato
CREA 2022年秋号
※この記事のデータは雑誌発売時のものであり、現在では異なる場合があります。
この記事の掲載号
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