仕事と恋愛の線引きは難しい

――ちなみに、杉野さんが3歳の頃って、どんなお子さんだったのでしょう?

 自分の中の一番古い記憶は小学生だから3歳頃のことは全然覚えていないけど、大人っぽかったと思います。おじいちゃん子だった覚えはあります。あとは正義感が強くて、善悪をはっきりさせたがっていました。それは「自分にとっての」善悪という意味ですが。

 クラス内でのルールは忠実に守りたいタイプで、それは今でも変わらないかな。

――落ち込む佐奈を励ましたり、仕事上でのアドバイスをしたりと、須崎は佐奈と仕事上での関わりが大きい分、好きな人がビジネスパートナーというのは複雑な所もあるかと思います。杉野さんご自身は、そんな須崎のことを同性としてどう思いますか?

 単純にカッコいいなと思う反面、須崎は「大切」とか「好き」っていう気持ちがよく分かっていないんじゃないかなと思います。佐奈のことを友達として大事に思いすぎているというか。

 特に佐奈や須崎が立ち上げた「ドリームポニー」という会社は、大学のサークルの延長線でやっているところもあると思うので、佐奈との関係を「仕事」と割り切って恋愛と線引きするには、須崎はとても曖昧な立ち位置だと思います。でも、そこの線引きが曖昧になる時期ってあるよね、という共感もあります。

――杉野さんから須崎に何かアドバイスできることがあるとすれば?

 う~ん、そうだな。仕事の自分とプライベートの自分をごっちゃにするとよくない!

――(笑)。今、私たちの取材に答えている杉野さんと、プライベートの杉野さんはどう違いますか?

 プライベートではもっと表情や口調が柔らかくなるんじゃないかな。やっぱり仕事のときはオンのスイッチを入れているので、仕事場では普段の姿は見せてないと思います。

2022.07.01(金)
文=根津香菜子
撮影=釜谷洋史