ミステリアスで美しい女子高校生・桐谷沙羅(茅島みずき)が突如転校してきたことをきっかけに、同級生や生徒、その家族が疑惑と混乱の渦へ巻き込まれていくさまが描かれるドラマ「教祖のムスメ」(MBSドラマ特区 毎週木曜よる24時59分~ ※初回放送は25時09分~)。
双子の妹・湯田いちか(豊嶋花)へのいじめを知りながら、何もできないでいた兄・一真(藤原大祐)。そんな二人の前に突如現れた沙羅は、間一髪のところでいちかの自殺を食い止める。しかし、沙羅がこの学校にやってきた本当の目的は別にあった……? 先の展開が見えないスリル満点の学園サイコサスペンスだ。
本作の主人公・沙羅を演じているのが、4月に公開した映画『女子高生に殺されたい』などの話題作に出演し、Seventeenモデルとしても活躍する茅島みずき。スクールカーストやいじめ、カルト集団といった重いテーマを含んだ本作への出演を、本人はどう受け止め、演じているのだろうか?
その見た目から、クールビューティーな印象を受けるが、友達との学校生活を話す姿からは、現役高校生らしい一面も。今の思いや、等身大の素顔に迫った。
沙羅の心の闇の部分を表現したかった
――「教祖のムスメ」主演の沙羅のオファーを聞いたとき、率直な感想はいかがでしたか?
サスペンス作品に出るのは初めてなので、出演が決まったときはすごくうれしかったです。予想を裏切られる展開の連続で、作品自体もすごく魅力的でした。でも同時に、台本を読んでいるうちに「この沙羅を私が演じられるのか」と不安な気持ちになってきて。
今までは明るい役やクールな役といったわかりやすいキャラクターが多かったので、沙羅という二面性のある役をどう演じたらいいのかなと悩んでしまったんです。撮影前に金井(紘)監督がしっかりと本読みの時間を設けてくださって、他のスタッフさんたちとみんなでディスカッションをしながら撮影に入ることができたのは心強かったです。
――過去のインタビューでは「心に闇を抱えた役に挑戦してみたい」と仰っていましたが、実際に沙羅という役を演じてみていかがですか。
今までで一番難しかったですね。
台本を読んで沙羅の大まかなイメージはすぐに掴めたのですが、それをどう表現していくか、という部分で悩んでしまって。感情が揺れ動いて、狂ったようになる場面はまだ演じやすかったのですが、普段の沙羅、日常会話のシーンの表現に試行錯誤しました。ただの笑顔で話していると“普通の女の子”になってしまうので、その時の声のトーンや「どういう笑い方」をするか、といった沙羅の何気ない日常をどう表現するかが難しかったです。
――先日公開されたメインポスターでは、ストーリーを象徴するような沙羅の怪しげな表情と、一筋の光が印象的でした。台本にも「微笑」や「不敵な笑み」といった微笑みのパターンが沙羅にはいくつもありましたね。
今回はサイコパスな役なので、微笑一つをとってもその時々で意味が違う。沙羅の中に秘めたものを隠してしまってもいけないし、さらけ出してもいけない。口角で表現したり、目線で表現したり、ちょっとした加減が難しかったですね。
その中でも意識したのが「沙羅の目」です。普段、相手の目をずっと見て話す事ってないじゃないですか。でも、沙羅の場合はずっと目を見て話したり、わざと目線を外したりとか、少し普通とは違った表情の動きをする。人を意のままに操っているように見えたり、沙羅の心はどこにあるんだろうと思わせたり。そういった表情一つひとつにすごくこだわって撮影をしているので、ぜひ注目して見ていただきたいポイントです。
――演じている中で沙羅という人物に共感できる部分はありましたか?
なかなか感情移入しづらい役ではあったんですけど、お父さんを思う気持ちには少し共感できるかもしれないです。歪んだいびつな愛情だけど、狂おしいほど愛している。自分とは全然違う形ではありますが、私も父のことが大好きなので、その点に関しては少しわかるかもと思います。
2022.05.31(火)
文=根津香菜子
撮影=釜谷洋史
ヘアメイク=大槻史菜、宮沢風香
スタイリング=星 翔子