かけっこでも負けたくないくらい、負けず嫌い(笑)

――ここからは茅島さんご自身のことも教えてください。小学校時代はプロゴルファーを目指して、練習に励んでいたそうですね(ベストスコア70!)。

 小学2年生からゴルフを始めて、365日中360日練習していました。だけど、小6の時に出場した全国大会で挫折を経験したんです。毎日ここまでやってきたのに報われなかったという気持ちになってしまって。目標を見失ってしまったというか。

 そんなときに、お母さんから「長崎でやっているアミューズ(※アミューズ全県全員面接オーディション –九州・沖縄編–)のオーディションを受けてみない?」と声をかけられて。そこでグランプリをいただいたのがデビューのきっかけです。そのときの自己PRでもゴルフのスイングを披露しました(笑)。

――そこから女優さんを志したのですか。

 事務所内で同世代の子たちと一緒にお芝居やダンス、歌のレッスンをするのですが、周りにはその時点で既にキャリアを重ねている人が多くて。恥ずかしい思いもたくさんしましたし、圧倒的な差を感じました。でも、私はすごく負けず嫌いなので「今は一番下だけど、ここからはい上がってやる!」と思っていました。

 ゴルフもそうなんですが、私元々勝負事には絶対に負けたくないタイプで。保育園の運動会のかけっこで、一番になれなくて泣いていたくらい(笑)。悔しさをバネにして、とにかく頑張ろうとレッスンに臨みました。

 その中で、お芝居の楽しさ、演じることの面白さに惹かれて。そこから女優さんになりたいなと思うようになりました。

――女優デビューは、2019年放送の「恋の病と野郎組」。これまでに、ポカリスエットのCMや、舞台「Romeo and Juliet -ロミオとジュリエット-」でのヒロイン役、「卒業式に、神谷詩子がいない」で初主演を務めるなど、順調に女優としてのステップアップをされている印象ですが、ここまで戸惑いや壁にぶつかったことはありましたか?

 それはもう常にです(笑)。今でも作品に入るたびに何回も壁に当たりますし、心がくじけそうになったことは正直何度もあります。だけど、お芝居がうまく出来たときの一瞬の楽しさや、応援してくださる方々の声が活力になるんです。「あの作品、良かったよ」って言ってもらえることが一番うれしいので、そういった声が聞けると「また頑張ろう!」って思います。

――女優デビューして約3年。この先こんなことをしてみたいとか、こんな役を演じてみたいとかありますか?

 まずは頂いた役に対してちゃんと向き合って、やるべきことを一つひとつ、ちゃんと積み重ねていくことが直近の目標です。そうして将来的に大きな賞をいただけるような女優さんになりたいです。

 やりたい役という意味では、実は私、王道の恋愛ものに出たことがないんです。学園もののヒロインみたいな役って、たぶん年齢的にももうそろそろできなくなってくるのかなと感じているので、挑戦してみたいですね。

 あとは助演をしっかり出来る女優さんになりたいと思っています。きっと脇役って、一番難しい立ち位置だと思うんです。存在感も無くてはならないけど、主演の方より目立ってしまっても良くない。良い作品って役者だけではないですが、すべてのピースがそれぞれの役割を果たしている作品だと思うんです。主演ではない役に入ったときに「すごくいいね」って言っていただけるような女優さんになりたいです。

――具体的に目標にしている役者さんはいますか?

 仲野太賀さんのお芝居がすごく好きです。仲野さんは主演もやられていますが、脇役でもすごく存在感があって、私が言うのもおこがましいですが、芝居力をすごく感じる役者さんだなと思います。いつか共演したいなという気持ちもありますし、憧れの方ですね。

2022.05.31(火)
文=根津香菜子
撮影=釜谷洋史
ヘアメイク=大槻史菜、宮沢風香
スタイリング=星 翔子