じつは子供時代から芽生えていた「物作り」への熱意

――手入れのしやすさにそこまで着目するのは?

 洗濯が面倒なんです(笑)。洗うのも干すのも畳むのもあまり好きではないんです。かといってクリーニングに出すのも大変ですよね。洗濯表示を気にせず、家で簡単に洗えたらうれしいじゃないですか。ですから生地選びにはかなりこだわっています。

 そして、データだけだとわからないことも多いので、シワにならないか何回も生地をねじりますし、洗濯テストも多くて3回することも。コットンは着心地がいいけど洗うとすごく重くなるし、干しているうちに首元が伸びちゃうこともありますよね。

 ちなみに今日着ているアンティミテのワンピースは、スカート部分にナイロンコットンを組み合わせているので軽くて乾きやすいんです。生地も丈夫なので、擦れても傷みにくいです。

――かなりこだわっているんですね!

 結構服作りには厳しいほうかもしれないです。最初は自分の名前を冠したブランドにするかどうか迷ったのですが、名前を出すことによって責任感も生まれますし、プレッシャーがあるからこそちゃんと細部までこだわることができると思いました。買ってくださった方に「失敗したな」と思われる服を提供したら申し訳ないので、生地も縫製も丁寧なモノづくりをしている日本製にこだわっています。

――子供の頃から洋服が好きだったんですか?

 大好きでした。中学の頃からミニスカートに厚底を履いたり……当時は安室奈美恵さんや浜崎あゆみさんが人気でしたし、みんな同じようなファッションをしていたと思います。

――ファッションに興味を持ったのは誰の影響?

 兄がファッション好きだったことが影響しているのかなと思っています。子供の頃から服は自分で選んでいました。

 あとファッション雑誌をよく読んで参考にしていました。もっとさかのぼると「ちゃお」などの少女漫画雑誌も読んでいましたね。

――小学生の頃のファッションは?

 マーメイドラインのデニムのスカートが流行っていたので、よく履いていたのを覚えています。デパートに行くとゲームコーナーに行かず、お洋服屋さんに行くような子でした。

――洋服には幼少期からずっと興味があったんですね。

 小学校低学年の頃は手芸が好きで、バッグとか小銭入れを縫ったり、マフラーを編んだりしていました。しかも自分のためではなく、誰かにあげるため。プレゼントする友達に合わせてメガネ模様などを刺繍していましたし、「ここにチャックがあったらいいのに」と思って、セール品のファスナーを見つけて縫い付けたり。ミシンも当時から使っていたし、学校でも手芸クラブに所属していました。

 その頃の気持ちは今の服作りに生きていますし、「すてきにハンドメイド」というNHK Eテレの番組にも出演させていただいています。好きなことをお仕事にできている今は、本当に幸せかもしれないです。

2022.05.01(日)
文=松山梢
撮影=佐藤亘