小舟に乗って癒やしの小島「アイランド・スパ」へ

「フォーシーズンズ リゾート モルディブ アット クダフラ」のスパの名前は、「アイランド・スパ」。前回紹介したランダー ギラーヴァル島のスパとはまったく趣が違う。その名の通り、小さな島がまるごとスパになっているのだ。リゾートのメイン桟橋からは、小さなスパ専用ドーニに乗って、対岸の小島へ。ドーニというのは、モルディブの伝統的な船で、足で舵を操作する船だ。喫水が浅い平らな船で、サンゴ礁の浅瀬も難なく進んでいく。

 「アイランド・スパ」に着くと、緑の中を通ってスパ・レセプションへ。ここで、体調やマッサージの強さの好みなどについてのアンケートに答えたら、担当セラピストとともにトリートメントルームへ。この小島には、海に面した7棟の一戸独立型のヴィラがあり、それぞれがひとつのトリートメントルームとなっている。

 門を開けて小さな中庭を抜けると、オープンエアの更衣室、バスタブ、シャワー、トイレがあり、その奥がトリートメントルームだ。着替えは、バスローブかパレオの、好きなほうを選ぶことができる。着替えが終わると、まずはフットバス。40度くらいのお湯にはプルメリアなどの花が浮かべられていて、癒やしの時間の始まりにふさわしい。

 白で統一されたトリートメントルームでは、引き戸を開けるとサンゴ礁の海を眺めることができる。トリートメント中にも、床のガラスを通して海が見えるという造り。涼やかな海風が通り抜けるのも心地いい。

 ボディ、フェイシャルと、様々なトリートメントメニューが用意されているが、ぜひ体験してほしいのはクダフラ・ヒーリング・ウォーターと名づけられたマッサージ。イギリス人セラピストが腱鞘炎になってしまった際に、手指に負担にならないようにと開発したマッサージだ。

 トリートメントベッドの上に40度程度に温められたウォーターパックが載っていて、ゲストはその上に仰向けに横たわる。セラピストはゲストの身体とウォーターパックの間に腕を入れて手指に負担なくマッサージできるし、ゲストは途中で体勢を変えなくていいので、途切れることなくリラックスできるという一石二鳥の施術だ。

 まるで湯船に浸かっているかのようにじんわり温まりながらのマッサージは、身体の緊張が一気にほぐれる心地よさ。温めた石を使って身体を温めるホットストーンマッサージ以来の衝撃だった。まんべくなく身体が温まる上、ウトウトしているときに起こされて体勢を変える必要がないという秀逸な施術なのだ。様々なマッサージを体験してきたけれど、この至福のひとときのためにモルディブを再訪したいと思ってしまうほど!

2022.05.08(日)
文・撮影=たかせ藍沙