「幸せでいられればいい」と強く想う

――演者として、あるいは人生の中でのモチベーションや、今現在の目標にはどんなものがありますか?

 すごく難しい時期だなとは思っていて、コロナによって先のことをなかなか考えられなくなったじゃないですか。何が起きるかわからないし、それに対して悩むのも嫌だなって。幸せでいられればいいなという想いはより強くなった気はします。

 ここ1、2年くらいはとにかく色々な役をやりたいと思って、様々な作品に参加させていただいてきました。それを経て、いつかは主演をやりたいという目標はありますが、5年後や8年後でもいい、というくらいの漠然としたものです。

――焦らなくなってきたというか……。

 そうですね。まず今が幸せであるかどうかを大事にしようと思っています。

 モチベーションに関してだと、最近考えたのはいまってリセットがなかなかできないなということです。一つの作品が終わって、次の役を養う期間があるといっても、いまは選択肢が凄く狭くなってきていますよね。今までだったら旅行や美術館に行ったり、本を読んだりアクティビティをして自分の心に栄養を与えたり、リセットをする時間を作ることで「よし、次の作品に挑める」というリズムを作っていたのですが、いまはなかなかそうはいかない。

 じゃあ何をして次の仕事に向かうエネルギーを出せるだろうかと考えたときに、勉強することじゃないかな? と思って。いまはなるべく視野を広げようと思って、知識を入れたり技を得たり、そういったインプットを意識的にしています。

 これまではたとえオフで旅行に行ったとしても、知らず知らずのうちに表現するうえでプラスになっていたと思うんです。それができなくなったいま、自分から取りに行くという意味で「勉強をして得る」を実践しています。

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大島優子(おおしま・ゆうこ)

1988年10月7日生まれ。栃木県出身。最近の主な出演作にNHK 連続テレビ小説 「スカーレット」、ドラマ「ネメシス」、「青天を衝け」、映画『明日の食卓』、『ぼくたちはみんな大人になれなかった』など。

『とんび』

2022年4月8日(金)全国劇場公開

昭和37年、瀬戸内海に面した備後市で運送会社に勤めるヤス(阿部寛)と、妻・美佐子(麻生久美子)との間に待望の息子・アキラが誕生した。しかしアキラが3歳になったある日、美佐子が事故死してしまう。ヤスの姉代わりで小料理屋・夕なぎの女将たえ子(薬師丸ひろ子)や幼なじみの照雲(安田顕)、その妻の幸恵(大島優子)らに支えられながらアキラを育てるヤス。ある日、誰もが口を閉ざしていた母の死の真相を知りたがる息子に、ヤスは嘘をついてしまう。

出演:阿部 寛 北村匠海 杏 安田 顕 大島優子
原作:重松 清「とんび」(角川文庫刊)
監督:瀬々敬久
脚本:港 岳彦
音楽:村松崇継
主題歌:ゆず「風信子」
配給:KADOKAWA イオンエンターテイメント
©2022『とんび』製作委員会
https://movies.kadokawa.co.jp/tonbi/

2022.04.06(水)
文=SYO
撮影=深野未季