福岡県糸島市に移住して10年になる料理家の広沢京子さん。移住してから、その時その時の旬の食材に出会うようになり、つくる料理も変わってきたといいます。
そんな広沢さんに糸島の食材との関わりを伺うとともに、糸島の味わいが感じられる広沢さんおすすめレシピ&食材を教えてもらいました。
地元の素材を合わせるだけで美味しいひと皿に
![キッチンを中心としたダイニングが、広沢さんの仕事場。グレイッシュなブルーのタイルは多治見から取り寄せたもの。](https://crea.ismcdn.jp/mwimgs/7/3/1280wm/img_73f763ef6ef52d700c103f46cdc07308102894.jpg)
糸島に移住して、広沢さんのつくる料理も変わってきた。
![糸島の食材を引き立てる、糸島の調味料。新三郎商店の「またいちの塩」と、ミツル醤油の「生成り」はキッチンに欠かせない。](https://crea.ismcdn.jp/mwimgs/b/d/1280wm/img_bdf6ca17a16a58a51aed30e04d0e410840214.jpg)
「まず、メニューありきで食材を調達するのではなく、素材ありきでメニューを考えるようになりました。“直売所のパトロール”で見つけたものや、生産者の方から送っていただいたものが中心です。糸島って、本当に食材が豊かなので、地元産のものでたいていの料理はつくれるんですよ」
糸島の旬を追いかける歓び
![庭にワサワサと茂っているフェンネルの葉を摘み今日の料理に。](https://crea.ismcdn.jp/mwimgs/4/8/1280wm/img_48d8c4fc974032bf1d1475a7390c2955189106.jpg)
今回、つくってくれた2つの料理も、素材のほとんどが糸島産。“柑橘のタルティーヌ”は、豊富な柑橘類から、果肉がやわらかく甘い「天草」と、ぷりっと弾けるような食感の「はるみ」を使用。
OKUZOE SEIPANのカントリーサワーに、TAKのチーズ、ハーブは広沢さん宅の庭から。糸島半島沖・姫島産のタコを使った“タコとひじきのパスタ”も、パスタとオリーブ油、こしょう以外は糸島産。塩は新三郎商店、醤油はミツル醤油といった地元産の調味料が、素材の持ち味をグッと引き立てている。
![この家に移り住んで10年。オリーブなどの植栽もすっかりなじんだ。](https://crea.ismcdn.jp/mwimgs/8/d/1280wm/img_8df5192f49ea8195b3e199661600a89f122543.jpg)
「同じ素材でも時期によって香りや食感が違うこと、同じ畑でも場所によって形や味わいが変わってくることが、身をもって分かるようになりました。旬を追いかけながら、料理を考え、こうしてお伝えすることにやりがいを感じています。私の料理の原動力は『これ、美味しいから食べて欲しい!』なんです」
![3歳から糸島暮らしの息子さんは少年野球の選手で今年から中学生。「いずれは糸島を出て、世界を見てきてほしいですね。そうすれば、ここの良さも改めて分かると思うから」](https://crea.ismcdn.jp/mwimgs/3/0/1280wm/img_3057036d3122549c4e9013abe95e79f468966.jpg)
2022.03.23(水)
Text=Yuki Ito
Photographs=Atsushi Hashimoto
Food coordinate & Styling=Kyoko Hirosawa
CREA 2022年春号
※この記事のデータは雑誌発売時のものであり、現在では異なる場合があります。