あるがままの貴重な自然を安全&快適に体験できる体制づくりが人気の理由
人気の理由を殿羽根丸の高野さんに聞いてみると、透明度が高いこと、そして魚影の濃さ、地形の面白さ、そしてソフトコーラルの多さからカラフルであることだとか。まさに、オールラウンダーです。
そして地理的な条件にも幸運が重なりました。
ヒリゾ浜は断崖にはばまれ、陸路から行くことはできません。舟渡しの乗り場である中木の港からも切り立った崖の裏手にあるため、見えません。
この周辺には遠い昔、フィリピン海プレート上に乗った伊豆半島が移動して本州と合体した際にできた、断崖や小島が多く残され、複雑な地形を作っています。それがヒリゾ浜を目隠ししてもいます。
また、富士箱根伊豆国立公園内にあるので、人の手が入っておらず、文字通りの手つかずの自然が広がっています。
さらには、黒潮がぶつかる立地というのが、決定的。黒潮が入ってくると、海の色が明らかにブルーに変わり、透明度もグンとアップ。魚影が濃厚になり、魚種も南方のものが増えるそうです。ちなみにナンヨウハギ(『ファインディング・ニモ』のドリー)もここ1~2年現れているとか。
ちなみに、海のコンディションは潮流によって変わり、西からの下り潮が入ってくるとベスト。これは時間帯による潮汐とは違い、時期によるものだそうで、2021年は“下り潮っぱなし”だったそうです。
地理的に好条件が整った上に、受け入れ側の対応もバッチリなのです。
ヒリゾ浜は100メートルほどのゴロタの浜で、舟渡し期間中はライフセーバーがスタンバイ。海にはブイをめぐらせて安全を確保し、監視船が海から常に見守っています。
安心してスノーケリングが楽しめる上に、現地でもらえるパンフレットの水中マップが実に詳細に見どころを紹介。水中地形や水深、見られる生物が実に細かく記され、どこに行けば面白いかがひと目でわかります。
2021.12.18(土)
文・撮影=古関千恵子