むき出しになった巨大な地層の壁や生々しさのある黒い大地……。“週末ふらり”が可能なアクセスの良さで圧倒的な別世界に連れて行ってくれる類を見ない島、伊豆大島。

 そんな伊豆大島の醍醐味を味わえる観光スポットと、滞在するならここ! という極上の宿をご紹介。


都内なのに完全別世界! むき出しの地球に出合う

 言葉を失うような美しさや迫力のある風景に出合えるのは、旅の醍醐味。心身をリフレッシュさせてくれる特効薬だ。海外や遠方への旅が不安な昨今、近場で、息の詰まるような日常を忘れさせてくれる場所はないだろうか――。

 伊豆大島は、そんな願いを叶えてくれる格好の小旅行先だ。飛行機で調布から約25分、ジェット船で竹芝から約1時間45分と、あっけないほど近い。

 伊豆大島は外周50キロほどで大きな島ではないが、景色のバリエーションはとても豊かだ。ゆったりとした海と雄大な三原山は、どこに行ってもその気配を感じられるが、見え方が場所によって全く違う。

 たとえば、ライフラインの要でもある大島一周道路を走っていると突如現れる、「地層切断面」。高さ約24メートル、長さ630メートルもある断層が視界に飛び込んでくるのだ。

 地球が刻んできた生命の歴史が重なっているわけだが、こうして目の前に突き出されると、地球の体の内側がちょっとだけめくれているような、肉感的な感じさえする。

 あらわになった断層も非常に珍しいが、日本で唯一の砂漠も大島にある。三原山のふもとにある「裏砂漠」の手前までは4WDで、その先はトレッキングで入ることができる。

 目だけではない。三原山から吹きおろす強い風にさらされ、歩くごとに地面のスコリア(噴火で噴出した砂礫)が立てるジャッジャッという独特な音。

 度重なる噴火によってむき出しになった地球の一部と接しているようで、心地よいというよりも、パワーがみなぎるようだ。

 ここは月やほかの星? なんていう妄想も思わず膨らむスペイシーな雰囲気に浸れる稀有な場所だ。

 もうひとつの三原山へのアプローチでおすすめなのが、「大島温泉ホテル」を拠点とするトレッキングコース。

 ホテルの窓の外には三原山とふもとの樹海が間近に広がっており、その“中”を通って山に向かう。

 ホテルの脇にあるコース入り口に立つと、すぐに始まる景色は「こもれびトンネル」。くねくねと枝を伸ばした椿が両側からハイタッチするように迎えてくれる。

 ファンタジックなトンネルを抜けると今度は唐突に目を疑うような景色。色彩は急に減り、ごつごつした大小の黒い岩が点在。さっきまでの緑一色のトンネルから急展開、武骨で荒々しい表情への変化に圧倒される。

 これらの力強い風景の数々は、活火山とともにある大島独特のもの。五感を震わせるような景観と体験は、今、自分が「地球の上にいる」ことをしみじみと実感させてくれる。

大島温泉ホテル

所在地 東京都大島町泉津字木積場3-5
電話番号 04992-2-1673
客室数 40室
料金(1室) 特別客室 39,600円~(1室2名利用、朝・夕食付き)
http://www.oshima-onsen.co.jp/

文=CREA編集部
写真=Sai