「“明日はどんな表情をされるんだろう?” とワクワクしていた」

――政界に無知なご令嬢の二世候補・川島有美を演じた宮沢りえさんと、窪田さんのやり合い、やり取りが絶妙でした。見どころですよね。

 りえさんとは、ずっとご一緒したかったんです。共演できることになり嬉しかったです。りえさんは、大人の女性なんだけど、ものすごくかわいらしい方で。有美としてのまっさらでクリーンな気持ち、何色にも染まっていない気持ちは、りえさんを通してすごく伝わってきました。

 撮影は15日間とタイトだったんですけど、毎日本当に楽しかったです。「明日はどんな表情をされるんだろう?」とワクワクして見ていることが多かったです。

――宮沢さんとだったから出せたような演技もありましたか?

 谷村にとって一番の軸になる人なので、りえさんじゃなかったらそこまで振り幅を出せたかなと、今になっても思います。自然に「守りたい」と思ってしまう何かを、宮沢りえさん自身が持っていたのをすごく感じました。人としてすごく尊敬していますし、好きな方です。

――撮影中に感じた、宮沢さんの「あ、かわいいな」という一面は、例えばどういうところなんですか?

 屋上から有美を突き落とすシーンがあるんですけど、もちろん実際には突き落とさないですし、安全上ハーネスもきちんとつけているんですね。ハーネスを持ってくださっている助監督さんに、りえさんが「ちゃんと持っててくださいね……!」とすごい一生懸命伝えていて。「いやいや、宮沢りえさんを落とすわけないでしょ! 命がけで持つでしょ!」と思って(笑)。

 ちゃんとその奥にはロックもしてあるし絶対落ちないんだけど、そういう感じがすごく素敵でかわいい方だなって思っていましたね(笑)。

2022.01.06(木)
文=赤山恭子
撮影=平松市聖
ヘアメイク=糟谷美紀
スタイリスト=菊池陽之介