クールで、かっこよくて、ちょっとだけ近寄りがたい?

 これまで演じてきた個性的な役柄の影響か、心まで見透かされそうな大きな瞳の吸引力か。

 クールで、かっこよくて、ちょっとだけ近寄りがたい。

 桜井ユキさんに抱いていたそんなイメージは、会った瞬間、あっさりと裏切られた。

 実際の彼女はよく笑うし、ざっくばらんに心の内を明かしてくれる。人との間に壁を感じさせない、フランクで親しみやすい人だ。

 自身初となる写真集『Lis blanc』(リス・ブロン)には、セクシーなランジェリー姿をはじめ、Tシャツに短パン姿でくつろぐ夏休みの小学生みたいな姿まで収められており、桜井さんの多面的な魅力がぎっしりと詰まっている。

 デビューして10年。

 「これまでを振り返る写真集を作りたかった」と語る、俳優・桜井ユキの原点に迫った。

ダメ元で提案した、祖父母の家での撮影

――写真集の内容はどのように決めたのですか?

 ただ綺麗に撮っていただいた写真を出すのではなく、映像を切り取ったようなストーリー性のある1冊にしたいということは、カメラマンのND CHOWさんと話していたんです。

 私自身が役者を始めて10年の節目だったので、これまでを振り返るきっかけにできたらいいなと思いましたし、ロケーションやメイク、衣装も含めて意見を出させていただきました。

――生まれ故郷である大分でも撮影されたそうですね?

 小学校に上がる前まで過ごしていた祖父母の家で撮影しました。そんなにおしゃれな家ではないですし、最初はダメ元で提案させていただいたんです。そしたらスタッフの方々が「すごくいいじゃないですか!」と言ってくださって。

 撮影の空き時間に2〜3枚撮るだけの予定だったのですが、たまたま天気の関係で次のロケ地に行けなくなってしまったので、たっぷり撮っていただきました。おかげで写真集に採用されたカットも多くなりましたね。

 祖父母はもう亡くなっているのですが、まだ元気だった頃、孫たちがいつでも集まれるようにと家を建て替えてくれたんです。そこに対する感謝の気持ちもありましたし、写真という形で残しておきたいという思いもありました。

――青春時代を過ごした福岡市でも撮影されていますね。

 本当は実家のある久留米市で撮ることも考えたんです。でも久留米の人間からすると福岡市内はすごく憧れの地というか。

 高校生のときに友達と電車に乗ってお買い物に行ったり、“青春”という意味でいうと福岡市内ははずせなかったので。学生時代によく遊んでいた場所などで撮影しました。思い入れのある場所でたくさん撮っていただいたので嬉しかったです。

2021.12.22(水)
文=松山 梢
撮影=杉山拓也
ヘアメイク=石川奈緒記
スタイリスト=李靖華