中華街の老舗で「新菜」+「老菜」が融合した上海料理を

 横浜の夜景を満喫したあとは、中華街で一番古い上海料理店「状元樓」のディナーでしめましょう。

 創業1955年の老舗「状元樓」は、戦後の横浜で松方珠英さんが創業。娘の陣玲子さん、孫の恵さんという女性たち三代にわたって守り育てられ、現在では、東京、横浜に3店舗を構えています。

 “東洋のパリ”“東洋の真珠”と例えられた1920年代の上海。その神秘的な中国文化とアールデコ調の建築が融合した店内は、美しくも妖しい「老上海」の雰囲気が漂う不思議な空間です。

 上海料理らしい煮込み料理が自慢ですが、「新菜(新しい料理)」+「老菜(伝統料理)」が融合したオリジナルの上海料理も提供。オーナーが三代女性ということもあり、誕生石をイメージした、12種のジュエリー点心などを考案するなど、メニューも女性目線を大切にしています。異国情緒あふれる店内で本格上海料理をコースで楽しみましょう。

 今回いただいた水晶コースは、海老の塩湯で、蒸し鶏とネギの香味和え、窯焼きチャーシュー、豆腐干絲(精進料理)の4種の上海式前菜盛り合せからスタートします。海老は驚くほどやわらかく、頭もそのまま食べられるほど。

 また、点心はすべて手作りで、お店の裏には点心工場を構えているなど、どの料理も下ごしらえから丁寧に調理して、手間ひまかけてつくられているのがわかります。

 中国では青梗菜などの葉野菜を多用しますが、日本らしさを意識した根野菜を積極的に使っているのもこの店の持ち味。定番の伝統料理から旬の味覚を用いたオリジナル料理まで、贅を尽くしたメニューは、なんと300種以上。創業時よりこだわり続けた本場の味を、その鮮やかな色彩とともに堪能できます。

状元樓

電話番号 045-641-8888
営業時間 11:30〜21:30(L.O.)
定休日 無休
※最新の営業時間についてはHPでご確認ください。
http://www.jogen.co.jp/jgr_yokohama/

 港町のおいしい散策に加え、天空や海の上といったいつもと違った角度から横浜をめぐった1日旅、いかがでしたでしょうか。まだまだ紹介しきれないスポットもありますが、思い立ったら吉日。まだ知らない横浜を探しに、足を運んでみませんか。

2021.12.11(土)
文=大嶋律子