デビューから20年。少女から大人の女性へ

 鮮烈なデビューから20年が経った。2001年、女優デビューを果たしたTVドラマ「傷だらけのラブソング」で中島美嘉さんが演じたのは、かつて売れっ子だった音楽プロデューサーに見出され、スターへの階段をのぼっていく歌手の役。彼女が歌った主題歌「STARS」の歌詞は、秋元康さんが手がけていた。

 最新シングルは「SYMPHONIA/知りたいこと、知りたくないこと」。金曜ナイトドラマ「漂流者」の挿入歌である「知りたいこと、知りたくないこと」の歌詞も、「WILL」(2002年)から19年ぶりに秋元さんが手がけている。少女から大人の女性へ。歌い手としての表現力を増す中島さんに、この20年の内面の変化について聞いた。

「この状態が続くと思うなよ」と自分に言い続けていた

――デビュー20周年おめでとうございます。春から夏にかけては全国ツアーも回られましたが、20周年を迎えたお気持ちはいかがですか?

中島 いつの間にか……という感じです。実際、10周年、15周年のときも、インタビューのたびに「こんなに続くと思わなかった」とお答えしていたんですが、その、不思議な感覚はずっと変わらないですね。デビューしたばかりのときは、正直、「3年で辞める!」と思っていたんです。

 「辞める」というより、「3年ぐらいしか続かないだろうな」って、自分で勝手に区切っていたのかな。「そのうち辞めて、またバイト生活に戻るだろう」とか、そんな風にしか考えていなくて。歌手を一生の職業にするようなことは……正直、今でもあまり実感としては……ないですね。うん。「この状態が続くと思うなよ」と、デビューのときからずっと自分に言い続けています。

――その、ご自身で区切っていた「3年」を乗り越えられた理由は?

中島 一番大きかったのは、映画の『NANA』に出演することが決まった事ですね。有り難いことにどんどんお仕事が決まって、休めなくて。最初の頃は、「これが終わったら『辞めます』って言わなきゃ」と思っているうちに次の仕事が決まって、「これが終わったら……」と。その繰り返しの中で、『NANA』を撮り終わって……。その瞬間、もう、「辞めます」なんて言える状況ではなくなってしまったんです。

2021.10.28(木)
文=菊地陽子
撮影=佐藤 亘
ヘアメイク=小林潤子(オーガスト)
スタイリスト=松尾明日香