憧れの舞台の役柄を「見たことのない、不思議な愛嬌をもった」人物にしたいと彼は語った。

 その描写が“中村倫也”という俳優のもつ雰囲気と重なる。それは観る側にとってハマったら抜けられない娯楽か、一度その効能を知ったら二度と手放せない媚薬か――。

 CREA WEBでは、「CREA」2021年秋号に掲載中のインタビューを大公開します!


「エンタメとアートで言ったら、自分はエンタメ寄り」

 エンターテインメントの世界で生きる表現者は、大概、幼いころに、「〇〇に救われた」とか「力をもらった」というエピソードをもっているものだ。中村倫也さんに、「若いころに力をもらった、励まされたエンタメは?」と質問すると、「うーん」としばし考えて、「何かあったかな……。わかんない!」と、およそ俳優らしからぬ一言を放つ。

 ならばと、幼いころから思春期ぐらいまでの間に好きだった映画を聞くと、今度は即座に、『フォレスト・ガンプ』『セブン』『ホーム・アローン』の3作品をリズムよく挙げた。

「『フォレスト~』と『セブン』は、今も、年に1回ぐらいのペースで観てる。『フォレスト~』は観るたびに引っかかるシーンが違って飽きないし、『セブン』はとにかく映像がカッコいい。『ホーム・アローン』は、子どものころに繰り返し観ました。主人公と年齢も近かったし、頭を空っぽにして楽しめたんだと思います」

 今をときめく人気俳優でありながら、気取りや気負いを全く感じさせない脱力の天才。どんな難役にも、さらに言えばエッセイやYouTubeにも、“中村倫也”らしい独特の個性が光る。

 舞台、映画、ドラマと堂々主役を張るトップ俳優ながら、アーティスティックな雰囲気も漂うが、本人は、「エンタメ系とアート系で言ったら、自分はエンタメ寄りの俳優」などと、さらりと自己分析する。

「だから、自分が好んで観るものって、王道でメジャーなものの方が多いし、シンプルに、観て楽しいものが好き。ルーツがそこだから、演じるときも、そっちの方が自分らしさは出るのかな、なんて」

2021.10.16(土)
Text=Yoko Kikuchi
Photographs=Satoru Tada
Styling=Arata Kobayashi
Hair & Make-up=Emily

CREA 2021年秋号
※この記事のデータは雑誌発売時のものであり、現在では異なる場合があります。

この記事の掲載号

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