建築家のイメージを実際に体感することができるのも魅力

「チャンディガールの議事堂」(1964)の屋上部分模型 The Museum of Modern Art. Gift of Barbara Jakobson and the Architecture & Design Purchase Fund, 2010. (C) 2013 Artists Rights Society (ARS), New York/ADAGP, Paris/FLC

 建築家を志した若きル・コルビュジエが旅先のギリシアやイタリアで描いたデッサン。そこからは彼が風景に強い関心を抱いていたことがわかる。やがてランドスケープに対する独特の感覚は、インテリアのような小さなスケールから都市計画のような巨大なスケールまで、さまざまなかたちに発展していくことになる。

「サヴォワ邸」(1931) (C) 2013 Artists Rights Society (ARS), New York/ADAGP, Paris/FLC. Photo (C) Richard Pare

 一般に建築の展覧会は模型や図面、デッサンが中心となるが、今回はル・コルビュジエのデザインによるインテリアを原寸大で再現したものも展示される。晩年を過ごした南仏のカップ・マルタンの休暇小屋、無名時代に故郷のラ・ショー・ド・フォンで手掛けたジャンヌレ=ペレ邸、パリの郊外のヴィル・ダヴレーに建てられたチャーチ邸、そしてマルセイユのユニテ・ダビタシオン。これらによって建築家が構想した空間のイメージを実際に体感することができるのも魅力だ。世界遺産の候補にもなったル・コルビュジエの建築をより深く楽しむには絶好の機会と言えそうだ。

「ル・コルビュジエ:モダン・ランドスケープの世界地図」
開催期間 2013年6月15日~9月23日
会場 ニューヨーク近代美術館
URL www.moma.org/visit/calendar/exhibitions/1321

鈴木布美子 (すずき ふみこ)
ジャーナリスト。80年代後半から映画批評、インタビューを数多く手掛ける。近年は主に現代アートや建築の分野で活動している。

Column

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2013.06.26(水)