自由でいるために誰にも執着したくないし、縛られたくない
――先ほどコロナの自粛期間を経て、いろいろと変わったと話されていましたが、具体的にどんな点が変わったと感じますか?
ちょっと前まではなんていうか、心の中がぐちゃぐちゃでした。当時、自分でも気づけてなかったんですけど、無理していたんだなと思います。コロナで撮影が約2ヶ月ストップした時、その期間がそのまま自分と向き合う時間になって。だんだんと今の自分というものが整理されていったんです。
失敗したら、どうしよう。とか以前は漠然とした不安があったのですが、やるべきことを自分がしっかりとやっていれば、その結果起きることはすべて流れなんじゃないかって思うようになりました。例えば、仕事で失敗したとしても、そこから学ぶための流れだったんじゃないか、とか。成功したとしてもそうです。そのまま受け止めようと思いましたね。これって難しいし、怖いことですけど。
今のようにいろんな仕事をさせていただいている状況ってなかなか無いことで、恵まれていることだと思っていますし、作品ごとに不安に思ったり、しんどかったりすることはあるけど、そういう考えになりました。僕は役者という仕事に全力で取り組むだけだって。支えてくれる人が周りにたくさんいますし、考えすぎる必要はないなって。
――杉野さんはオンオフをきちんと切り替えられるタイプですか?
苦手なタイプです(笑)。自分の性格上、スイッチが切れないんですよ。一見、休んでいるように見えても、気持ちが休めないんです。オフの日でもつい仕事のことを考えてしまうし、こういう感情を活かせるなとか、こういう感情を経験できて良かったなとか思って、作品や役に繋げてしまう。
それはそれでいい部分もあるんですけど、最近はポジティブな意味でそういう自分から離れたいって思ってます。オフの日にエネルギーを一度きちんと充電して、よし仕事! ってなったら、もっと良いものを届けられるのかもって考えたりしています。
――今の杉野遥亮として、他にはどんなことを感じたり、思ったりしていますか?
基本的に自由でいたいんですよね、なににも縛られたく無いし、誰かに執着されたり、執着するのも嫌だし、なにかにすがるのも嫌ですし…。
――誰かに甘えたりとか頼ったりしないんですか?
それも実は苦手で(笑)。でも、最近は親にいろいろと頼れるようになりました。ありのままの自分を一番よく知っているのは家族ですし、受けとめてくれるのも家族。子どものころは長男だったし、自立しなきゃって思っていて甘えられなかったけど、大人になって弱い部分なんかもさらけ出せるようになってきました。やっぱりそういう意味でも、この1、2年で大人になったのかな。
――それでは最後に、今後やってみたい役を教えてください。
今の自分では理解できない役柄をやってみたいです。今、お話をいただいている役って自分にどこかしらリンクしている気がするので。今回の『僕の姉ちゃん』も以前の自分に似ている部分があったり。
とにかく、いろんな役をもっとやってみたいです。役を演じることで、自分の見たことのないパーソナルな部分に出会えるかもしれないし、他者への理解も広がるかもしれない。演じたことがある役柄でも、相手との関係値でやっぱり変わる部分がありますから。そういう経験を重ねていくことで世界はどんどん広がっていくんじゃないかな。
そんなふうに考えると、これからの役との出会いにワクワクしますよね。
杉野遥亮(すぎの・ようすけ)
1995年9月18日生まれ、千葉県出身。2017年公開映画『キセキ―あの日のソビト―』で俳優デビューしたのち、さまざまなドラマや映画で活躍。映画『東京リベンジャーズ』では、ナオト役を演じる。待機作には、ドラマ「恋です!~ヤンキー君と白杖ガール~」が10月6日からスタート予定。
ドラマ『僕の姉ちゃん』
ユーモラスで辛辣な姉・白井ちはる(黒木 華)と、姉に翻弄されるが素直に話を聞いてくれる弟・白井順平(杉野遥亮)は、両親不在のつかの間、二人暮らしをしている。仕事を終え帰宅した部屋で、お酒を飲み、それぞれ好きなものを食べながら、恋・仕事・趣味・人生にまつわる会話を繰り広げる。姉弟だからこそのぶっちゃけトークで炸裂する“姉ちゃんの本音”は、一見ひねくれていて意地悪なように聞こえるが、実はしごく真っ当で、順平は妙に納得してしまう。
Amazon Prime Videoにて2021年9月24日(金)より全話一挙先行配信
出演:黒木 華、杉野遥亮、久保田紗友、若林拓也、平岩 紙
監督・脚本:吉田善子
脚本:清水 匡、高田 亮
https://www.tv-tokyo.co.jp/bokuane/
2021.09.24(金)
文=渡里友子
写真=鈴木七絵
スタイリング=伊藤省吾
ヘアメイク=後藤泰(OLTA)