俳優の道は大根仁監督との出会いから
――その後、07年に放送されたドラマ「去年ルノアールで」にレギュラー出演されます。このドラマの演出家でもあった大根仁監督との出会いは?
大根さんはとても音楽に精通している方で、ミュージシャンの友達が多くて、昔からSAKEROCKのライヴにもよく遊びに来てくれたんですよ。(SAKEROCKのメンバーで、大人計画所属の俳優でもある)星野(源)くんが大根さんのドラマ「去年ルノアールで」で主演することが決まって、「ハマケンも出てよ」と誘われたんです。
――10年に漫画家のオム先生役で出演されたドラマ「モテキ」も大根監督ですが、やはり大根作品への出演が浜野さんを大きく変えたのではないでしょうか?
そうかもしれませんね。大根さんには何度か使っていただいたんですけど、初めて演技を褒められたことも大きいですね。「だいたいミュージシャンの演技って、最初はいいけど、二回目以降ダメになることが多い。でも、ハマケンはどんどん上手くなるな」って。それがスゴいうれしくて、役者をやっていこうと思うきっかけになりましたね。
――翌11年に公開された映画『婚前特急』では吉高由里子さん相手に、勘違い男・タクミ役で独特の存在感を残しましたね。
撮影したのは「モテキ」より『婚前特急』が先なんですけど、あの作品も僕にとってのかなりの転機になった作品でした。それまでは台本を読んでいても、「自分が目立てばいいかな?」程度のことしか思っていなかったんですが、この映画は台本を読めば読むほど超面白くて、絶対やりたいと思ってオーディションを受けたんです。じつはこの映画の前田弘二監督も、その5年ぐらい前にSAKEROCKライブを見ていて、「タクミ役はあの人みたいな人がいいな」と思ってくれていたらしいんですよ。そんなことを言っていただくのは初めての経験だったし、あの頃は色々と自分の中で変化が起きて、演技に対して燃え始めたんです。音楽制作と映像制作が、如実に繋がっていることが多いことにも気付き始めた頃でしたね。
2013.05.17(金)
text:Hibiki Kurei
photographs:Atsushi Hashimoto