2021、コスメの進化を齋藤 薫が斬る 職人技が光る傑作コスメ10選も！

だから今、どうしても評価しておきたい職人技コスメコレクション

　化粧品における職人技とは何か？　高い品質と極上のテクスチャー？　それはもちろんだけれども、今どきテクスチャーが悪い化粧品など見つけるのが難しいほど。化粧品は明らかにもう次のステージに行っていて、紛れもなくそのアイテム作りのスペシャリストが精魂込めて作ったものでないと、際立たない時代なのだ。

　つまり他を探しても同じものがないというオリジナリティと、結果の素晴らしさ、両方あることが何より重要。言い換えればアイディアの斬新さに、きちんと効果がついてくること、その掛け合わせで使う人を感動させて初めて、職人技と言えるのではないか。それができるのは、そのアイテム作りを極めている開発者だけ。

　料理と一緒で、オムレツを作る基本的なレシピは一緒でも、アイディアやおいしさの差は無限大、作る人でピンからキリまであるのと同じなのだ。

　例えばファンデーションを作るレシピは一緒でも、作る人、すなわち企画者の発想と技術者の腕次第で結果はまるで違ってくる。今回ここに挙げた職人技が光るファンデ2品も、他にはない独創的な傑作。

　アンプリチュードのパウダーファンデはパウダータイプでありながら透明感を生むことをテーマとし、それを見事に形にした。その結果がこの一見2色組の形となり、白を下地にし、上に肌の色を載せるという重ね着スタイルとなったのだ。これによって本来生まれるはずのない透明感までが生まれるのである。

　もう一品、アルビオンのクリーミィファンデーションは美白ラインから登場しているが、まさにコンシーラーがいらないほどカバー力が高く、均一な肌色になるのに、肌と一体化する艶肌仕上げはまさに匠の技。簡単そうで難しいこと、それで人を感動させるのが職人技なのである。

◆アクアジェル リップパレット

持つ人の心を変えるドラマチックサスティナブル

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　一見華やかなリップパレット。でも化粧品容器として初、100パーセント植物由来の生分解性ポリマーのケースは持つ人の意識を変える。

　しかもドラマチックなアートが描かれていて、従来のエコのイメージを根本から覆す。化粧品のサスティナブルはかくあるべき。リップの水のような発色も、クリーンで美しい。

◆コンプリートフィット パウダーファンデーション

パウダータイプなのに透き通るファンデ？

　パウダータイプで透明感が出せないか？　それはファンデの宿命への挑戦。普通なら成立しない特性を試行錯誤の末、下地膜を先に塗り、上から肌色を載せることで実現させた。

　強いこだわりとその技術こそ職人技、使うほどに見事さが際立つ処方だ。

2021.06.25(金)
文＝齋藤薫
Photographs＝Hirofumi Kamaya

CREA 2021年夏号
※この記事のデータは雑誌発売時のものであり、現在では異なる場合があります。