西洋占星術的には200年ぶりに“地の時代”が終わり、“風の時代”が始まった。
産業革命に始まる物質の時代が終わり、心の時代へのパラダイムシフトだ。
変革の時期、社会の不平等や不寛容など、ひずみが顕わになる中にコロナ禍が重なり、多くの人が息苦しさを感じているだろう。こんな時、多少なりとも美容がその助けにならないものか?
ささやかな動作で、生命力のスイッチをオンにする、それが美容の不思議さだから。
美容にもプラセボ効果がある。
とりわけメイクは、命を吹き込む偽薬である
メイクにはプラセボ効果がある……そう言ったら驚くだろうか。プラセボ効果とは外見は薬でも薬の成分は全く入っていない、いわゆる偽薬。それでも効果が出てしまったりすることを言う。
理由は未だ不明、でも暗示や自然治癒力が働くのだろう。じつは化粧品でも同じことが起こり、ただの水に“モイスチャーローション”というラベルがあるだけで“とっても潤う”と評価する人が少なくないのだ。
更に、こういうことってないだろうか。疲れていて、気分も落ちていて“最悪の状態”。でも出かけなければいけなくて、嫌々メイクすると、出かける時には治っている、もう元気になっている、みたいなこと。
青白い顔にファンデを塗ると生気が戻り、チークを塗ると血の巡りが良くなって、口紅を塗ると表情が明るくなってくる。あれ、私、元気かも。しかも外出して誰かに「今日はキレイ」と褒められでもしたら、いつも以上に元気溌剌。メイクってそういうものではないのか。まさに命を吹き込むプラセボ効果。スキンケア以上に、生きていく気力に変わる偽薬なのだ。
いよいよ物より心を大切にしたい「風の時代」が始まった。それでもみな頑張っていて、みな一生懸命。にもかかわらず、今のコロナ禍ではストレス解消の手段も見つけにくい。だから考えてみた。多少なりとも美容がその助けにならないものかと。
2021.04.11(日)
文=齋藤 薫