世にも簡単、世にも重要、生きるための美容法は深呼吸だった!
しかし化粧品を使う美容だけが美容じゃない。とりわけ前向きに生きていくためなら何も使わず、技もいらない、たった今この瞬間にできる美容。呼吸法である。
ともかく人間は呼吸が浅い。深呼吸が少なすぎる。睡眠中はあんなにゆっくり大きく寝息を立てるのに、日中は意識して呼吸をしていない。これが人間ネガティブになったり、原因不明の体調不良に見舞われる最大の原因だという極端な見方もあるほど。
逆にこれほど簡単で、これほど重要な生き方テクニックはないとも言える。方法にも決まりなし。一般的には、4秒で鼻からゆっくり息を吸い、倍の8秒かけてさらにゆっくり小さく息を吐いていく方法が基本正しいともされるが、ともかく背筋を伸ばして「ゆっくり吸ってゆっくり吐く」を1日何度か繰り返せば、それで充分なのだ。
で、こうした深呼吸が癖になると、だんだん余計なことを考えなくなる。人間の思考は1日6万回。しかも8割はネガティブな思考。その積み重ねが、“生きていたくない感覚”を生むわけで、深呼吸は頭を空っぽにして、無駄な思考を脳から追い出す最良の方法。だからたった1つのコツは鼻の奥まで入っていく息をずっと感じ続け、無の境地に至ることなのだ。
それだけで生きる気力が蘇ってくる。人間の体はじつにうまくできているのだ。ましてや「風の時代」、物より心、所有より体験、目に見えないものこそが大切という価値観へ大きくシフトしつつある今、まさしく深呼吸のような命のポンプ1つで、心の向きが劇的に変わっても少しも不思議じゃないのである。
2021.04.11(日)
文=齋藤 薫