京都大学の大規模疫学研究とシャネルの共同研究がスタートしたのは、2014年のこと。

 1,000人以上の女性の皮膚を長期にわたって測定&解析した結果を着眼点に開発されたシャネルの新作美容液とその研究内容について、詳しくお話を伺った。


健康長寿という医学の視点で美白を考えた新たなアプローチ

 京都大学医学研究科と滋賀県長浜市、地域住民が連携して2007年より取り組んでいる「ながはま0次コホート」。

 “0次”とは、病気にならないよう気をつける従来の1次予防に対し、先んじて予防するという意味。

 松田文彦先生らの研究グループが指揮をとり、住民1万人の健康診断や環境・生活習慣の調査を定期的に行う。

「アンケートではなく測定による事実を解析する、最先端の大規模疫学研究です。病気の原因や老化のメカニズムを解明し、医学の発展と健康づくりへの貢献を目指します」(松田先生)

 この研究に共鳴し、自らがもつ技術を提供して2014年より共同研究を行っているのがシャネル。健康長寿という医学の視点をスキンケアに応用し、製品開発の可能性を広げている。

 「私たちは女性1,054人、男性198人の皮膚を長期的に測定し、生活習慣や遺伝子情報についても調査を行いました。

 その結果、色素沈着がなく明るい肌をもつ人は健康的な食事、適切な保湿ケアなど5つの要素を満たしていることが判明。

 彼らの遺伝子データにもアクセスしたところ、細胞のアミノ酸代謝が美肌のカギであることがわかったのです」(シャネル 宮本さん)

 これらの結論をもとに、アミノ酸代謝をサポートする保湿成分として屋久島産のガーデニアから抽出した「ガーデニア フルーツ エキス」を見出し、独自の美白有効成分「TXC」とともに配合した美白美容液が誕生。

「生き生きとピンクに輝く、美白を超えた“ヘルシー ロージー グロウ肌”を目指す美容液です」(宮本さん)

色素沈着のない肌には、ピンクの輝きが宿っている

KEYWORD 1:ながはま0次コホート

 京都大学医学研究科と長浜市、地域住民が密に連携して進めている事業。従来の疫学調査はアンケートに基づく研究が主流であるのに対し、測定を徹底し、病気の原因や老化のメカニズムを事実ベースで解析。

KEYWORD 2:ヘルシー ロージーグロウ肌

 「どの年齢層でも、色素沈着のない女性の肌にはピンクの輝きが宿っている」というシャネルの調査結果から生まれた言葉。この目標により、シャネルの美白に“ヘルシー”という概念が加わった。

KEYWORD 3:アミノ酸代謝

 色素沈着が少なく、生き生きと健康的な肌に欠かせない要素。アミノ酸代謝が高い肌は、肌の潤いのもとである細胞内のアミノ酸が多い。アミノ酸代謝のサポートは、保湿のための本質的なアプローチ。

KEYWORD 4:ガーデニア フルーツ エキス

 屋久島のガーデニアから抽出したエキス。細胞のアミノ酸代謝を助けることを起点とし、細胞のエネルギー源やミトコンドリアのエネルギー産生に関わる補酵素を増やし、生き生きと潤った肌に。

お話を聞いたのは……
松田文彦先生

京都大学大学院医学研究科附属 ゲノム医学センター センター長。2007年より、滋賀県長浜市で1万人の地域住民を対象としたゲノムコホート研究「ながはま0次コホート」を開始。

宮本雅義さん

シャネル R&I スキンケア マネージャー。「ル ブラン」シリーズをはじめとする、シャネルのスキンケア製品全般の処方開発を手がけている。

シャネル

フリーダイヤル 0120-525-519
https://www.chanel.com/

2021.04.29(木)
Composition & Text=Mari Otsuka
Photograph=Hiroki Watanabe

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※この記事のデータは雑誌発売時のものであり、現在では異なる場合があります。

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