餡が焦げそうになる音を聞き取り、できる限り強火で炊き上げる
「甘音屋」のお菓子の特徴は個包装の美しさ。和紙風の包みで、シンプルでモダン。箱だけでなく籠入りやふろしきでのラッピングなど、和モダンのイメージで、とてもおしゃれ。多くの人が「もらってうれしい」と思うでしょう。でも、それだけではありません。
「餡は、強火で炊くと甘さがすっきり。弱火だとどうしても後口に甘さが残ります。それを、焦げそうになる音を聞き取り、できるだけ強火で炊き上げる。それが職人の技です」
「甘音屋」の「音」とは、甘さを生む音。蒸す音、焼く音、練る音など、和菓子をつくる時の、甘い音の響きを感じてほしいという森さんの思いが込められています。
森さんは一度完成したお菓子でも工夫を重ねます。たとえば、どらやきに使う小麦粉。滋賀県産の小麦粉がいいらしいと聞くと、即取り寄せて従来の配合にプラスしたら、とてもよくなったのだそう。「産地にこだわらず、自分が一番いいと思うものを使って、作り続けたいですね」と森さん。食感、焼き上がりの香り、風味……。つくりたいものの特徴を見極めて、それに合った材料を選ぶ。それに、どんな小豆をどのようにして炊いた餡をどれくらい挟むか……。お菓子ひとつでも、とても奥深い。
定番のどらやきやもなかの他に、ふわふわした食感のましゅまろ大福「秦」(期間限定)、みずみずしいみかん大福「味感」(期間限定)、不思議な食感の和栗トリュフ「朔」(期間限定)、あん入りわらび餅や栗きんとんなど、季節毎に色々なお菓子がありますし、新作も登場。それぞれ、あっさりした甘さ、後口のよさで、おつかいものにすれば誰もが喜んでくれるはず。手頃な価格も魅力です。
自分がおやつとして食べて気に入ったお菓子を、大切な人への手土産にする。差し上げた方がそれを食べて幸せな気分になってくれることを願いながら。贈ることで幸せになれるお菓子です。
甘音屋
住所 兵庫県姫路市広畑区蒲田5-200
電話番号 079-239-1220
URL www.kamada-amaneya.com
Column
そおだよおこの関西おいしい、おやつ紀行
生まれも育ちも神戸の生粋の神戸っ子で、長年の関西での取材経験からおいしいお店を知り尽くしている、ライターのそおだよおこさんが、関西の「今、食べてほしい!」というおやつを紹介します。
2013.04.14(日)