明石・魚の棚商店街は、約400年前、明石城が築かれた時にできたと伝えられる市場。現在は、東西に伸びる350mのアーケードの下に、約110店が並んでいます。歩いていてまず目につくのは、新鮮な魚介類。ぴちぴちと跳ねるエビや籠からはいだすタコにびっくり。名物の明石焼きの店やにぎわう寿司屋もあり、グルメも大満足の商店街です。

 そんなアーケード通りから南に入ったところに、小さなマフィンのお店「No123」はあります。和の町家の雰囲気を強調した外観と看板が目印。ガラリ戸をあけると平台にマフィンがずらり。こんがりおいしそうな匂いが漂っています。パン屋さんのようにトングを使って自分でピックアップするカジュアルなスタイルが楽しい。一角にはカウンターが5席あって、ひとりでも気軽にイートインできる造り。店内はアクセントカラーのピンクをきかせたちょっとポップなインテリアです。

 笑顔で迎えてくれた谷藤ゆきさんもピンクのTシャツ。料理とお菓子の教室でパンの講師をしていた谷藤さんは「東京・表参道のお店で初めて食べたマフィンが気に入って、自分でも色々作ってみていたんです。生まれ育った明石でお店をすることになり、パン屋さんはたくさんあるけれどマフィンのお店がないので、やってみようと思って」、2012年4月に「No123」をオープン。店名の由来をたずねると「目標123店。夢は大きく持たなくちゃ」とにっこり。

 谷藤さんが作るのは、大きくて飾り気のない焼きっぱなしスタイルのアメリカンマフィン。カップケーキ型のような型で発酵させずにベーキングパウダーを使って焼き、甘くふんわりとした食感が特徴です。ケーキのようでもあり、パンのようでもあり、おやつにも軽食にもぴったり。谷藤さんは毎朝7時頃から厨房に入り、次々に10種類以上を焼き上げています。手作りだから1個ずつそれぞれ形も大きさも違って、どれを買おうか迷うのが楽しい。

「アメリカの家庭でおかあさんが焼くようなマフィン。1個でおなかいっぱいになるボリュームのある大きさです。家族みんなで食べられる値段にしたくて、どれでも1個280円にしました」。よつ葉バターやブラウンシュガーなど、使用する食材にもこだわっています。

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2013.03.10(日)