彼女と一緒に漫画を読んで号泣する場面。あれは憧れました

――菅田さんが演じた麦と、有村架純さんが演じた絹のカップルぶりがとてもリアルで、見ているこちらが恥ずかしくなってしまう場面もありました。

 うん。恥ずかしいですよね(笑)。 

――恋人同士を演じる中で、絹が有村さんだったからこそ引き出された表情はありましたか?

 ありました。実は、家でひとりで考えていてもどうしていいかわからない部分があったんです。でも現場に行って有村さんと向き合うと、自然と何も考えずにできる感覚がありました。さらに土井(裕泰)監督が「そこでちょっとこんな顔をしてみて」とエッセンスを足してくれるんです。

 やっぱりドキドキするお芝居ってほんと難しいんです。あとは笑うとかね。すごく嘘がバレやすい気がするので、今回は有村さんに助けられました。

――菅田さんが憧れるシーンはありましたか?

 この映画には結構、カップルのあるあるが詰まっているのですが、「うわ、こんなことやったことない。やってみたい!」って思ったのは、ベッドでお菓子を食べながら一緒に漫画を読んで号泣する場面。

 僕なんて学生時代、友達とジャンプを読んだことがあるくらいですから。彼女と一緒に漫画を読むって、あれはいいですね。

――観る人の年代や経験値、価値観によっても映画の受け取り方は変わる気がします。もうすぐ28歳になる菅田将暉さんには、ふたりの恋愛がどう映りましたか?

 すごく楽しそうだなって思いました。それが一番の感想ですね。

 もちろん、冷静になってみるとふたりが少しずつすれ違っていくのは仕方ないなとも思います。

 好きな映画やお笑い、音楽が一緒だったことで出会っているんですが、それってお互いの内面を知っているように見えて、実際はそんなに知らないんですよね。自分が体験したこととか、感じたことで共感を生んでいるわけじゃなく、誰かが作った作品というフィルターを通してるから。1対1でのやりとりではない。距離が遠いなって思いました。

 でも、恋愛ってそういうものじゃないですか。お互いのことを知りすぎていない時のワクワクってやっぱりあるし、知らないからこそ気を遣うし、合わせられる。それが楽しいんじゃないかなあ。

2021.01.30(土)
文=松山 梢
撮影=佐藤 亘
ヘアメイク=古久保英人
スタイリスト=猪塚慶太