悩めるティーンに贈りたい3冊

親でも先生でもない立場だから伝えられることがきっとあるはず。甥や姪、周りにいる大人にも読んでほしい一冊を。
親でも先生でもない立場だから伝えられることがきっとあるはず。甥や姪、周りにいる大人にも読んでほしい一冊を。

A『おやときどきこども』 鳥羽和久

 福岡で塾講師をしながら、たくさんの親子と接してきた著者が、子どもや親の抱える問題について綴った一冊。

 「子どもたちの生き生きとした語りと、著者の鋭い考察が印象的。子育てや教育にとどまらず、親と子、人と人との関係にとって大切な提言がぎっしりで、子どもにもその親にもおすすめです」(黒田さん)。1,600円/ナナロク社

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B 『のどがかわいた』 大阿久佳乃

 著者が高校生のころに、同世代に詩を読む喜びを伝えるために書いたフリーペーパーを再編集。中学時代の家族や学校のことを綴ったエッセイを新たに収録。

 「どの文章もみずみずしくて、ひりひりとした感覚があります。多感な10代の『友達』へ、気が向いたら読んで、と手渡したい一冊です」(黒田さん)。1,300円/岬書店

C『大人になれば』 伊藤敦志

 デザイナーである著者が、自身の子どもへのプレゼントとして描いたものを書籍化。ある一日を過ごす男が、いつしか不思議な出来事に巻き込まれるストーリー。

 「ほとんど言葉がないサイレントコミックなので、想像を搔き立てられます。いつだって、自分の背中を押せるのは自分自身なんだと思わされるお話です」(黒田さん)。2,500円/セルフパブリッシング

●推薦してくれたのは……
黒田義隆さん・杏子さん(くろだよしたか・きょうこ)

「ON READING」店主。名古屋の書店「ON READING」を営む。新刊本や古書、雑貨などを扱いながら、ギャラリーの運営や出版レーベル「ELVIS PRESS」を主宰。
▶嬉しかった贈りもの コロナ禍で不安な時期にお客さんからいただいた手紙は宝物。

2021.01.19(火)
Text=Kaori Hareyama
Photographs=Wataru Sato,Hirofumi Kamaya

CREA 2021年1月号
※この記事のデータは雑誌発売時のものであり、現在では異なる場合があります。

この記事の掲載号

贈りものバイブル

CREA 2021年1月号

特別な一年に想いを伝える
贈りものバイブル

特別定価900円

思いもかけない日々となった2020年。いつもと違う毎日のなかで新しい習慣ともなんとか付き合ったり、戸惑うこともあったと思います。思い通りに会えない日々が続いても、贈りものという形で気持ちを届けたい――。誰もが頑張った一年と、新しい明日に贈る、感謝とご褒美、ときどきエール。いろいろな想いをギフトにして届けます。