では、いよいよ謎魚 ナワキリをいただきます!

 離島のおいしいものといえば、もう魚しかありません。

 とくに南大東島では、「ナワキリ」という魚が必食だといいます。

 飲食店やスーパー、民宿などが集まっている島の中心・在所地区。

 その路地に看板を掲げているのが「ちょうちん」。

 ランチも営業していて、メニューも多彩。幅広い世代に愛されている、島の名店です。

 ご主人は、料理人歴約50年という大ベテラン。東京などの飲食店で腕をふるった後、25年ほど前に島に戻ってお店を開いたそう。

 さて、お目当ての名物魚、ナワキリ。

 とても鋭い歯を持ち、顎の力も強い魚で、縄も切ってしまうという深海魚です。

 メニューには「南大東島産」「超人気」の文字が踊り、誰もが注文せずにいられません。

 生まれて初めてのナワキリ体験。

 口に入れると、白身なのにとても脂が濃厚。そして身がコリコリ。酢味噌がよく合います。

 「なんだろう、この味わい……」

 孤島の未知なる旨みに開眼する瞬間です。

 さらに、新鮮なマグロも美味。赤身本来の旨みがぎゅっと凝縮していて、これも島ならでは。

 続いて、ナワキリバター焼きも注文。

 どっしりと分厚い身は、迫力満点。

 刺身とはひと味違って、こちらは白身の淡白な旨みが口に広がります。

 生ビールを飲みながらメニューを見ると「魚のフギ炒め」の文字が。

 「フギって、何?」

 フギとは、マグロの胃袋のこと。魚モツといった感じでしょうか。

 牛や豚と同様、マグロのモツも独特の食感で、ちょっとクセになりそう。

 カレー風味でおつまみにぴったり、野菜たっぷりなのもうれしいところ。

 この一皿で何杯でも飲めそうです。

大衆居酒屋「ちょうちん」

電話番号 09802-2-2950
営業時間 11:30~13:00、17:00~22:00
定休日 日曜

 ほろ酔いでお店を出ると、外はすっかり真っ暗。

 月明かりに照らされた小さな町をのんびり歩いて、「島でお魚を食べるなら……」と、もう1軒おすすめされた「居酒屋 金海」に向かってみます。

2020.12.08(火)
取材・文=矢野詔次郎
撮影=志水 隆