CREA WEBではこの冬、まだ見ぬ沖縄の魅力に出会える、沖縄本島周辺の15離島をクローズアップ。その第1弾は、絶海の孤島・南大東島です。
那覇から飛行機で約60分、憧れの秘境アイランドへ
「沖縄が大好き!」という人でも、訪れたことがある人は、きっとまだまだ少ない沖縄本島周辺の15離島。
沖縄本島とは橋でつながっていないこれらの島々は、隔絶した環境だからこそ、美しい自然が守られ、奥深い文化が今も暮らしのなかに息づき、まだ見ぬ沖縄に出会えるのです。

15離島それぞれ異なる個性がありますが、なかでもきわ立った秘境感を醸し出しているのが、南大東島。
離島好きならいつかは行ってみたい、憧れの場所のひとつです。
アクセスは、那覇空港から直行便で約60分、毎日1便が運行しています。
また、北大東島経由のフライトの場合は約120分。北大東~南大東間は、日本で最も短い航空路線で、飛行時間はわずか5分ほどです(マイレージもわずか8マイル!)。

那覇・泊港から定期船「だいとう」で行くこともできます。所要時間はなんと約15時間。
南大東島は、島全体が切り立った断崖となっているため、船は接岸できません。そのため、大型クレーンで吊った鉄籠に乗って上陸します。

さて、孤島のグルメ旅。
まずは、南大東島の2大名物、大東そばと大東寿司を気軽に味わえる「いちごいちえ」に。
今から30年ほど前に考案されたという大東そば。その元祖の歴史を受け継ぐお店です。
注文して待つこと数分。テーブルに運ばれてきた丼のなかを見ると、「えっ!? これ、うどんじゃないの?」というくらい麺が太い。
もちもちの食感と、しっかりとした食べ応え。沖縄そばならではの、やさしいスープの味わいもたまりません。

さらに、大東寿司も「これ、おいしい!」
ヅケにしたサワラやマグロをにぎり寿司にしたもので、新鮮な魚が手に入る島ならではの逸品。
ほんのりと甘辛いタレが絶妙です。
なお、お昼は大東そばがメインのお店ですが、夜は居酒屋さんとして営業。島のおいしいものをいろいろ味わえるとのことで、次回はぜひ夜もお邪魔してみたいです。
大東そば「いちごいちえ」
電話番号 09802-2-2230
営業時間 11:30~13:30、17:30~22:00
定休日 不定休
さて、名物料理でしっかり腹ごしらえをしたら、島内探索へ。
島をぐるっと一周すると約21kmの南大東島。
島内を巡るには、レンタカーやレンタサイクルは必須。ただし、台数がとても限られているので、予約はお早めに。

島内では、古くからさとうきびの栽培が盛ん。
青空の下、さとうきび畑のなかの道をドライブしたり、サイクリングしたり。
とても気持ちがいいです。

切り立った断崖が人々の上陸を阻み、今から120年ほど前までは、人の住むことがなかったという南大東島。
そんな秘境の島だからこそ、神秘的な風景も残されています。
まず訪ねてみたのが、バリバリ岩。

地殻変動で岩がバリバリっと裂けた場所で、訪れる際は、歩きやすい靴、動きやすい服装はマスト。
というのも、バリバリ岩へと向かう、その入り口からしてワイルド感満載なのです。
「え、ここを入っていくの?」
鬱蒼とした草木のなかを分け入り、さまざまな小さな生き物(といっても、それなりに大きいです……)に遭遇しつつ、足元に気を付けながら進んでいくと、垂直に切り立った岩と、その狭い隙間に1本のビロウの木が。
太陽の光が降り注ぐなか、凛として立っている姿が神々しくて印象的。
そして、さらにその先には、真っ暗な洞窟が……。
わずか数十分ですが、探検家気分をしっかり味わうことができます。
なお、訪れるなら、太陽が真上に来る正午ごろがおすすめです。

2020.12.08(火)
取材・文=矢野詔次郎
撮影=志水 隆