芝居の前では、僕はいつでもピンチ

 草彅さんといえば、演技力に定評があり、舞台人からも映画人からも、ラブコールが絶えない逸材だ。

 でも彼の芝居の本当の魅力は、そんなノープランでノーガードなところにあるのかもしれない。

 日本を代表するスターでありながら、インタビューでは何を聞いてもウェルカムな気さくさがあり、誰に対してもフランクで、タイトなスケジュールの中でも、常にユーモアを感じさせてくれる。

 なのに、「僕はいつでもピンチ」と、芝居や音楽に向かう時の自分の余裕のなさを、正直に語るのだ。

 「ギターに関しても、最近は曲が書けなくて困っているけど、その理由はなんとなくわかってるんです。『いい曲作ろう』とか、余計なこと思っちゃってるからダメなんだなって。それって真に音楽を楽しんでないってことだから」

 仕事では常にピンチな草彅さんが、この春、プライベートで最大のピンチに直面した。愛犬のクルミちゃんが子犬を三匹出産したのはいいが、一匹がうまく育たず、三日三晩寝ずに面倒をみたのだ。

2020.10.13(火)
文=菊地陽子
撮影=渡辺宏樹(TRON)
スタイリスト=細見佳代(ZEN creative)
ヘアメイク=荒川英亮

CREA 2020年11・12月合併号
※この記事のデータは雑誌発売時のものであり、現在では異なる場合があります。

この記事の掲載号

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