一果のエネルギーに毎回翻弄されてた

 「これは、あくまで僕のやり方だけれど、お芝居の時は感情を無理して作るんじゃなく、その時感じたものをその場で出すようにしています。

 特に、今回僕の演じたトランスジェンダーの凪沙は、一果という中学生の女の子に出会って母性が芽生えたり、内面が変化していくんだけど、一果を演じた服部樹咲ちゃんが全くの新人で演技らしいことをせず、自然だから、僕があえてテクニカルな芝居をしたら、浮いちゃうんです。

 僕はテクニカルなお芝居なんて何もできないんだけど(笑)。とにかく彼女を見習って、一果が発している鮮烈なエネルギーや輝きに毎回驚いて、翻弄されてた。

 ただ素直に喜んで、素直に驚いて、素直に泣いて。素直に一果の目を見ようと。それだけを思っていましたね」

2020.10.13(火)
文=菊地陽子
撮影=渡辺宏樹(TRON)
スタイリスト=細見佳代(ZEN creative)
ヘアメイク=荒川英亮

CREA 2020年11・12月合併号
※この記事のデータは雑誌発売時のものであり、現在では異なる場合があります。

この記事の掲載号

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様々な業界で活躍する人たちの人生を支えてきた習慣とは? 大切にしている美の価値観とは? 時に悩みながらも、美容を通して“自分らしさ”に真摯に向き合ってきた“あの人”に取材。そこから見えてきたのは、揺らがない自分でいるための美容でした。