シネマ歌舞伎として2020年10月から映画館で上演される『三谷かぶき 月光露針路日本(つきあかりめざすふるさと) 風雲児たち』で、三谷幸喜作・演出の新作歌舞伎に初挑戦した市川染五郎。
その経験は、歌舞伎以外への挑戦にもつながっていったという。染五郎は今、何に興味を抱き、どんな道を進もうとしているのか。
インタビュー後篇では、プライベートの顔も覗きながら、この若き役者の底知れない魅力を探ってみた。
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「三谷かぶき」の台本を見直して挑んだ出演作
──前篇で、『三谷かぶき 月光露針路日本 風雲児たち』で現代的なお芝居を経験したことが、次の新たな挑戦につながったとおっしゃっていましたね。具体的に教えていただいていいでしょうか。
それは、『サイダーのように言葉が湧き上がる』というアニメ映画で声優をやらせていただいたことです。
実は、その映画のイシグロキョウヘイ監督が、「三谷かぶき」を観て自分にオファーしてくださったらしくて。
やはりどんな方が観てくださっているかわからないですし、自分にとって挑戦だったことが、また違う新しい挑戦に、それもまったく違うジャンルの挑戦につながったということは、すごくうれしかったですね。
それから、今年の1月に、『令和にそよぐ風~若き歌詠みの物語~』という音楽劇に出演させていただいたのですが、そのときも、この作品で教わったことがすごく活きたなという実感がありました。
というのも、三谷さんや八嶋智人さんから、作品や役に関する具体的なことだけでなく、お芝居の基礎的なこともたくさん教わっていて、それを台本に書き込んでいたので、1月の音楽劇に臨むときに当時の台本を読み直してみたんです。
読んでみて改めて、これから役者をやっていくうえでのすべての挑戦で、ここに書いたことを参考にしていくんだろうなと思いました。
2020.10.04(日)
文=大内弓子
撮影=佐藤 亘
スタイリング=中西ナオ
ヘアメイク=AKANE