ファッションや美についてのこだわりは?
──三谷さんとの新作歌舞伎といい、『図夢歌舞伎』といい、お父様の幸四郎さんは新たなことにどんどんチャレンジされています。染五郎さんも先ほど「誰もやったことのないことをやりたい」とおっしゃっていましたが、具体的な構想はありますか。
あります。でも、言いたくないです(笑)。
──実現させたときにわかると。
はい。
──ちなみに幸四郎さんは、(市川)猿之助さんとともに新たなことに挑戦されることが多いですが、染五郎さんにもそんな盟友となる存在はいらっしゃいますか。
歳が近い市川團子さんとは、毎年8月に一緒に歌舞伎座に出ていて、学校も一緒で仲がいいので、大人になってもふたりでいろいろな挑戦をしていきたいなと思っています。
──将来いい役者になるためにどんなことを心がけたいですか。
新しい挑戦をするときには上手くいかないこともあると思うんですけど、そのときに後悔するだけで終わってはいけないとは思っています。後悔だけでなく反省をして、どうすれば次にいい方向に持っていけるかということまできちんと考える。それは毎回舞台をやっていて意識していることですね。
──最後に、今日の撮影で身につけられた洋服も素敵でしたが、ファッションや美について、こだわっていることはありますか。
あまりないです。できれば、それよりも中身を大切にして、中から自分を作っていければいいなと思います。
市川染五郎(いちかわ そめごろう)
2005年3月27日生まれ。十代目松本幸四郎の長男。祖父は二代目松本白鸚。2007年6月、歌舞伎座『侠客春雨傘』で初お目見得。2009 年6月、歌舞伎座『門出祝寿連獅子』の童後に孫獅子の精で四代目松本金太郎を名のり初舞台。2018年1・2月歌舞伎座で八代目市川染五郎を襲名。
『三谷かぶき 月光露針路日本 風雲児たち』
鎖国によって外国との交流が厳しく制限される江戸時代後期。大黒屋光太夫らを乗せた、商船神昌丸は伊勢から江戸へ向かう途中で激しい嵐に見舞われ、大海原を漂流することに。海をさまよう神昌丸には17人の乗組員たち。彼らが漂流を始めて8 か月、神昌丸がようやく発見した陸地はなんとロシア領。厳しい暮らしの中で次々と仲間を失いながらも、光太夫たちは力を合わせ、日本への帰国の許しを得るため、ロシアの大地を奥へ奥へと進んで行く。
https://youtu.be/792ZmKe4KHg
https://www.shochiku.co.jp/cinemakabuki/lineup/44/
※衣装クレジット
シャツ 33,000円(コスチューム ナショナル/コスチューム ナショナル 青山店)、ジャケット 75,000円、パンツ 38,000円(ともにガラアーベント/ガラアーベント トウキョウ)、その他/スタイリスト私物
コスチューム ナショナル 青山店(03-4335-7772/港区南青山5-4-30 CNAC1F)
ガラアーベント トウキョウ(03-6455-2065/渋谷区恵比寿西2-10-3 プラネックスアンベール2F・3F)
2020.10.04(日)
文=大内弓子
撮影=佐藤 亘
スタイリング=中西ナオ
ヘアメイク=AKANE