キッチュで残酷なオブジェも 愛があれば美しく
『タイの地獄寺』
「悪趣味、であることには理由がある。
タイのお寺で散見される、キッチュで残酷なオブジェたち。とてもずさんだったり、投げやりな造りだったりする。とうてい美的価値を見出せないように思える。
でも待て。“美”だけでこの世が成り立ってるわけじゃないし、“醜”を調査することで照射される“美”だってある。
著者の熱意の根本にあるのは“美”と“醜”を等価に捉えて偏愛するメンタリティなのかもしれない」(花本さん)
2020.07.22(水)
Text=Etsuko Onodera
Photograph=Hirofumi Kamaya