キッチュで残酷なオブジェも 愛があれば美しく

『タイの地獄寺』

「悪趣味、であることには理由がある。

 タイのお寺で散見される、キッチュで残酷なオブジェたち。とてもずさんだったり、投げやりな造りだったりする。とうてい美的価値を見出せないように思える。

 でも待て。“美”だけでこの世が成り立ってるわけじゃないし、“醜”を調査することで照射される“美”だってある。

 著者の熱意の根本にあるのは“美”と“醜”を等価に捉えて偏愛するメンタリティなのかもしれない」(花本さん)

『タイの地獄寺』

椋橋彩香
青弓社 2,000円

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2020.07.22(水)
Text=Etsuko Onodera
Photograph=Hirofumi Kamaya

CREA 2020年6・7月合併号
※この記事のデータは雑誌発売時のものであり、現在では異なる場合があります。

この記事の掲載号

偏愛のすすめ。

CREA 2020年6・7月合併号

好きなものがあるっていいよね
偏愛のすすめ。

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偏愛の対象は人それぞれ。愛するものと出合った人たちの言葉は、どれも純粋な喜びに満ちていて、耳を傾けているだけで幸せな気分にしてくれます。パンダに魔女っ子おもちゃ、脚付きの器にカツカレーの食べ方まで。マイワールドを謳歌する人々の“偏愛”を盛りだくさんでお届けします。気になる作品満載のBOOK in BOOK「愛してやまない映画とドラマ」も必見です。