Netflixオリジナルにはどハマり作品がいっぱい

◆ミッドナイト・ゴスペル

編集K お互いに旧作を結構掘ってるイメージですけど、新作でおすすめはありますか?

編集T 新作だと、「ミッドナイト・ゴスペル」(N)というアニメ作品です。バッチバチにキマっている色彩と独特のキャラクターデザインには、かなり中毒性があります。

 Netflix公式には「広い宇宙に散らばる不思議な世界をまわるスペースキャスター。その目的は、生と死、そして存在にまつわる疑問を解き明かすこと」と説明がありますが、それを読んでも多分ちんぷんかんぷんだと思うので、まずはまっさらな気持ちでとにかく観てほしいです。生と死だけでなく宗教や依存など、哲学的なテーマについて考えさせられるので、最終回を観終わった際には悟りをひらいたような状態になっていました。

 Kさんは、新作では何がイチオシですか?

編集K 配信を楽しみにしていた、デイミアン・チャゼル監督の新作ドラマ「ジ・エディ」(N)が本当に良かった。第1話の最初のライブハウスのシーンから釘付けになりました。チャゼルが監督した1、2話は16ミリフィルムで撮っているらしいんですが、それがちょっと荒んだパリの街と、ビターなストーリーに合っていて。「こんなのが家で観られちゃっていいんですか?」って思うほど贅沢で重厚なドラマ体験でした。

編集T さすがチャゼル。今回もジャズがテーマなんですね。劇中の音楽も良さそうだし、早速チェックしてみます。

◆ハーフ・オブ・イット:面白いのはこれから

編集K あとは、早くも2020年のベスト級と話題の『ハーフ・オブ・イット:面白いのはこれから』(N)もしみじみと良かったですね。

 主人公の女子が、クラスの男子に頼まれてラブレターの代筆をするんですが、そのうちラブレターの相手である女子のことが好きになって……という話。セクシュアリティの問題が描かれつつも、それが大げさなものとして取り上げられず、あくまで“日常”として繊細に描かれている点が好きです。自分の気持ちにも他人の気持ちにもまっすぐ向き合うことのできる、ピュアな心を持った登場人物たちを見ていると、こちらの心まで温かくなります。

編集T  『ハーフ・オブ・イット』は、「面白いのはこれから」というサブタイトルがこの映画のすべてを言い表している気がしませんか?

編集K そうですね。サブタイトル通り、ラストの展開はキラキラした未来を予感させるもので、気分が明るくなりました。

編集T 何度でも観たくなる爽やかさがありましたね。

2020.06.13(土)
文=CREA編集部