“推し”についての小説が芥川賞を受賞する昨今、いかに推すべきか、それが私たちにとっての至上命題!

 お笑いというジャンルの中での“推し”を見つけ、YouTubeやラジオや配信を掘りまくっている編集TとKが、とにかく夢中な芸人さんについて語ります。


ランジャタイが好きすぎて苦しい

編集K 今年は1月から「マヂカルラブリーno寄席」※1 と、バイク川崎バイク・さらば青春の光・ニューヨークの3組による「チン狼ゲーム」のライブ配信があり、早くも1年分の笑いを消化してしまったのでは? と心配になるくらい笑いました。

編集T 「マヂカルラブリーno寄席」は、映し出されているすべてものがこの世のものとは思えないほどの面白さでしたね。その中でも、一番光り輝いていたのがランジャタイのふたり。繰り返し繰り返し視聴し、正月休みはランジャタイとともに過ごしました(野田クリスタルさんおよび吉本興業さん! アーカイブの視聴期間を延長してくださりありがとうございます!)。

編集K 私がランジャタイのネタを初めて見たのは、数年前に行われた「パイ寄席」という地下(?)ライブでした。国崎さんの奇想天外すぎるボケと、伊藤さんの綾波レイ風の髪型に衝撃を受け、他の出演者のネタが全く頭に入ってこなくなったことを記憶しています。そこからネタを見ることはあってもパーソナリティを深く知る機会はなく、まさか伊藤さんがこんなにヤバい人だとは思いませんでした。

編集T ネタだけでなく、私生活もどうかしているという、非の打ちどころのないコンビです。私がランジャタイのネタをしっかり見たのは、昨年のM-1が最初で……。何でもっと早くに出会わなかったんだろうと、自分のお笑い偏差値の低さを呪いましたよ。もう今後はランジャタイの情報は一寸たりとも逃してはならぬと決意。ラジオアプリ「GERA」で放送中の「ランジャタイのサンバイザー」の過去回を漁り、完全にふりきった速さでランジャタイ沼に堕ちていきました。

編集K 過去30数回分のエピソードを2日でコンプリートしていましたよね(笑)。あの時はTさんの本気を感じました。しかし、そうなるのも当然なんです。ネズミの糞をなめる、用を足す時には全裸になる、銭湯に入ったのになぜか全く濡れていない……ラジオや生配信で明かされる、伊藤さんの日常が魅力的すぎるから。

編集T (笑)。セルフカットの綾波レイ風髪型に、黒のVネックTシャツ。出で立ちだけでもインパクト大なのに、それを圧倒的に凌駕するエピソード……。ランジャタイ沼はまだまだ深そうです。私は国崎さんの恋愛トークも大好き(もちろんここでは書けないので、ラジオを聴いてみてください)。そのエピソードを聞いたときは、感情がバグってしまい、通勤中にも関わらず大きな声を出してしまったほどです。

編集K 「国ちゃん……国ちゃん……」とうわ言のようにつぶやいていたTさんの姿が忘れられません(笑)。ところで最近、「どうしてこんなにランジャタイが好きなんだろう」と考えていて気付いたのですが、私はふたりから発せられている「自己肯定感」に惹かれているのかもしれません。あの摩訶不思議な世界観は自分たちのお笑いを迷いなく信じていないと生み出せないと思うし、自分たちのことを他の誰より面白がっていないと、M-1の敗者復活で圧倒的最下位が決定した瞬間にあんな弾けるような笑顔は見せられないと思うんです。

 YouTubeの生配信ににゃんこスター・スーパー3助さんがゲストで来た回では、「人生をやり直せるとしてもまたお笑いをやる」「もう一度国ちゃんを探すためにNSCに入る」と断言するふたりの姿に普通にグッときてしまいました。

ランジャタイぽんぽこちゃんねる「にゃんこスター スーパー3助さんが来た!」ランジャタイのぽんぽこ生配信。「人生やり直せるとしたら?」の話は31:00頃〜。スーパー3助さんのキレキレな腐り芸にも注目。

編集T わーん。泣ける。「Quick Japan」154号で、作家の大前粟生さんが「ランジャタイさんみたいなバリバリ独自の世界観でネタをやっている人たちが売れていく世の中になれば一番いいです」とおっしゃっていて。この意見に完全同意です。私も人生をやり直せるとしても、またランジャタイを推す自分でありたいと思っています。

編集K 私も同意です! もちろんネタも見たいし、V6のバラエティ番組「学校へ行こう!」(TBS)の「癒し系ミュージシャン」企画で人気を博したOK伊東さんが大好きで新幹線に乗ってイベントに行った話、ライブDVDを有名人に送りまくった結果、唯一返事をくれたのが漫☆画太郎先生だった話、みたいな独特すぎるエピソードももっと集めたいです。

編集T 国崎さんが、「ネタパレ」(フジテレビ)という番組で「影響を受けた芸人は?」と聞かれた際、「CHEMISTRYです」と、まっすぐな目をして答えていたのにも笑いました。CHEMISTRYの曲を久しぶりに聴きなおして、ランジャタイとの共通性を見つけようとしたのですが、ちょっと私には難しかったです。

編集K 好きだからこそ、ひとつひとつの発言をちゃんと理解したいですもんね。「ランジャタイもういっちょ」の配信も始まりましたし、今年はいろんなメディアに登場してくれそうでひたすら楽しみです。

編集T そうだ!「ランジャタイもういっちょ」の作家さんである、青木さんという方のツイッター(@aokiaokiaoki111)が面白く、彼の投稿を楽しみにしている自分がいます。ランジャタイのおかげで世界が広がりそうです。

※1 2021年1月1日に行われた無観客配信イベント。ランジャタイや永野など、地下芸人が大集合。ヤジを飛ばしあう様子が話題になり、吉本興業のオンライン配信歴代売り上げ枚数1位を記録。

【おすすめコンテンツ】

「ランジャタイのサンバイザー」
お笑いラジオアプリGERAにて毎週火曜日20時に更新中。
https://gera.fan/

2021.03.23(火)
文=CREA編集部