浅田政志と澁谷征司、好対照の才能を一冊で堪能

澁谷征司サイドの表紙。澁谷氏は1975年東京都生まれ。独学で写真撮影を始めるも、その静謐で完成度の高い作品は当初より注目を浴び、書籍の装丁などに使用されることも多い

『南予写真 NANYO』では、浅田政志氏、澁谷征司氏という2人の気鋭のフォトグラファーと市民がコラボレーションを行い、愛育フィッシュの魅力を発信している。この両名が実際に南予に滞在、現地の人々と交流を深めながら撮影した作品の一枚一枚には、この土地の持つ温かさが自然ににじみ出ているのだ。

 この写真集は、ブックデザインにおいて、両サイドから2人の作品を楽しむことができるダブル表紙仕様を採用。それぞれの個性を放つ2人の写真を一冊で堪能できる実に贅沢な造りとなった。

 浅田政志サイドは、南予に暮らす44人とともに、いろはかるた風の作品を制作。澁谷征司サイドは、南予の歴史や風土という観点から、景色や養殖魚生産の様子を撮影。どちらも非常に見応えのある内容だ。

 現在、愛媛県の八幡浜と大分の別府を結ぶ宇和島運輸の「フェリーえひめ」船内では、本書に収められた作品の展覧会「NANYO！ NANYO！ NANYO！」が開催されている。海上で鑑賞する写真展というのも、なかなか趣深い。会期は3月31日(日)まで。

『南予写真 NANYO』
南予ARTプロジェクト、浅田政志、澁谷征司著
発行 日本文芸社
定価 ￥1575
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2013.01.11(金)