化粧筆から変わり種の書筆まで
熊野筆の魅力のすべてを体感
●筆の里工房
熊野筆は今や、上質なメイクブラシの代名詞ともいうべき存在。
もとは海外で高い評価を受けて日本でも人気が広がってきたところへ、2011年になでしこジャパン国民栄誉賞受賞の副賞として贈られたことから一気に認知度が上がりました。
そんな熊野の筆づくりのすべてを見ることができるのが、ここ筆の里工房。
私たちに馴染み深いのは化粧筆ですが、もちろんメインは書筆で、他にも画筆などあらゆる筆に触れることができます。
この地で筆づくりを始めたのは約180年前。
その技術は代々受け継がれ、日本一の筆の産地として知られるようになりました。
熊野町には約1,500人の職人「筆司」がいますが、その中でも優れた経験と技能を持つ伝統工芸士が18人。
館内にある「筆司の家」では伝統工芸士が日替わりで筆づくりを実演しているので、名人たちの熟練の技を目の当たりにすることができます。
常設展では、白鳥の毛や竹などでできた珍しい筆を使って試し書きや、筆を使ってポストカードを作成したりと様々な体験ができるコーナーも。
自然に囲まれた地で長年育まれてきた筆文化の豊かさを、ぜひ実感して。
筆の里工房
所在地 広島県安芸郡熊野町中溝5-17-1
電話番号 082-855-3010
http://fude.or.jp/
2020.05.11(月)
取材・文=嵯峨崎文香
撮影=山元茂樹