ニコラさんのこだわりが生んだ
唯一無二の名品たち

 これまで何百もの新製品や色を世に送り出してきた中で「名品」と呼ばれる製品は数多くある。ブランドのシグネチャー、4色のフェイス パウダーがセットされたプリズム・リーブルはまさにそう。

「私が就任した当時は“ミロワ”というラインで展開されていたのですが、ジバンシイのDNAに立ち返り、色の構成とテクスチャー、パッケージを一新しました。4色が肌の上で溶け込むように混ざり合い、単色では表現できないニュアンスのある仕上がりを演出します」

 フェノメン・アイズのマスカラも。日本では“ネギ坊主ブラシ”の愛称で注目を集めた球体ブラシは画期的だった。

「マスカラで気になるのが塗り方で左右の仕上がりが変わってしまうこと。まつげの根本からしっかり塗れて長く太く、放射状に美しく広がる仕上がりを実現できないかと考え、行き着いたのが球体トルネードブラシでした。マスカラ液との組み合わせも徹底的にこだわりました」

 ファンデーションは、肌に心地よくフィットして崩れないタン・クチュール・エバーウェアが評判。ローズ・パーフェクトやルージュ・ジバンシイなど、リップアイテムも好調で若い世代にファンが広がった。

「ファンデーションはあらゆる肌ニーズに応えたいという思いがあってエバーウェアを作りました。薄くつけることも、輝きを足すこともできて美しい仕上がりが持続します。ローズ・パーフェクトは潤いとケア効果、pHエフェクトで自分だけの色が楽しめるリップバーム。新しいルージュ・ジバンシイ・ノワールにはグリッターやパールをふんだんに入れ、pHエフェクトも3倍アップしてジュエリーのような唇に」

 ニコラさんの物作りって優しさを感じる。おしゃれでカッコいい色なのに、誰にでも使いやすいように計算されていて。

「そう感じてもらえたら嬉しいですね。私はフィデリティ(忠実)という言葉が大好きで、クリエイションもそうありたいと思っています。多くの方の声を聞き、製品で実現させるのが私のミッションですから」

 今後の展開は?

「新しいアイディアに取り組んでいますが今はヒミツ。他にはない面白い製品を計画しているので楽しみにしていてください」

女性を美人に見せる
「絶対口紅」が進化

 2019年秋冬の目玉は、新生ルージュ・ジバンシイの誕生だ。

 王道ラインに7色の美人カラーが加わり、パウダリーマットに仕上がるベルベット、まばゆい輝きを放つブラックニュアンスのノワール(唇のpHに応じて赤みを増す仕上がり)の2タイプを新たにラインナップ。

 「ベルベットでレッドカーペットの女優のように、ノワールでミステリアス&ドラマティックに。リップでもっと遊んでほしいですね」とニコラさん。

 リアルな女性を表現したいと自然の光だけで撮影し、レタッチ(修整)を一切していない広告ビジュアルもカッコイイ。

●教えてくれたのは……
ジバンシイ メイクアップ アンド カラー
アーティスティック ディレクター
ニコラ・ドゥジェンヌさん

メイクアップアーティストとして映画やコレクションなどで活躍。1999年より現職。ジバンシイのメイクアップ製品のクリエイション、広告ビジュアルの一切を手掛ける。

吉田昌佐美(よしだ まさみ)

1979年より第一線で活躍する美容ジャーナリスト。新旧の名品やブランドの歴史を熟知。情熱的な鋭い取材と確かな分析力に基づく最新技術の分かりやすい解説は、国内外のブランドの開発者からの信頼も厚い。インスタグラム「masami_cosme」

Column

吉田昌佐美のブランド魂発見!

鋭い視点からの取材力と情報の蓄積に定評を持つキャリア35年の重鎮美容ジャーナリストが、コスメブランドそれぞれの「強み」を解説。さまざまな逸品ビューティアイテムに込められた「魂」に迫ります。

2019.10.20(日)
Text=Masami Yoshida
Photo=Kenichi Yoshida

CREA 2019年11月号
※この記事のデータは雑誌発売時のものであり、現在では異なる場合があります。

この記事の掲載号

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