軽やかに全身で纏う
みずみずしく甘美な花々の香り
vol.059_Dior
ディオール メゾンの誕生を飾った
ニュールックの香水
今回は「ミス ディオール」にフォーカスしてディオールのフレグランスの世界をブラ魂!
日本の女性は香水には消極的と言われる時代もあったが、今や若い世代を中心に香りを楽しむ人が増えている。
ミス ディオールはまさに火付け役となった存在だ。人気の秘密は後ほど詳しくお届けするとして、まずはその歴史を振り返ってみよう。
ミス ディオールが発表されたのは1947年2月12日、パリのアベニュー・モンテーニュ30番地にクリスチャン・ディオールがメゾンをオープンした日でもあった。
初のコレクションが開催され、「バー」スーツが“ニュールック”と評され、センセーションを巻き起こすこととなるが、同時にミス ディオールを発表したのは、「香水は、女性らしい魅力に欠かせないものであり、ドレスの最後の仕上げでもある」というムッシュ クリスチャン・ディオールの強い思いから。
単にフレグランスというだけでなく、ディオール メゾンの哲学を語る香りだったのである。
この香りのミューズとなったのが、ムッシュ ディオールの実の妹であるカトリーヌだ。
ローズやジャスミンの花々からなる優雅で魅惑的な香りは、戦時中に深い悲しみを味わった最愛の妹に捧げる“再生”を意味する香りであり、幼少期を過ごしたグランヴィルの庭を思い起こさせる香り。
実はディオール兄妹の「花」への愛は深く、カトリーヌは後にバラの栽培家になったほど。
ムッシュも「花々は女性の次に最も神聖な創造物である」と語り、花のモチーフを使ったドレスを数多く発表している。
ミス ディオールの評判は瞬く間に世界へ広がり、多くの女性を虜にすることに。
2019.12.02(月)
Text=Masami Yoshida
Photo=Kenichi Yoshida