お造りの主役は大根のツマ?
先付は、焼き筍 ハマグリ、ご飯で、優しい旨味が米一粒一粒に染みて、しみじみとおいしい。
煮物椀は、「うすい豆すり流し サワラとイカとエビの桜餅」。
豆の青々しくも甘い香りの中で、魚の穏やかな甘みが泳いでいく。
向付は、「小田原のアジ ヤリイカ 石鯛お造り。
魚はどれも、品のいい脂が乗って甘みがある、吟味されたものだが、「ツマが主役です」と言って出された大根ツマがいい。
細すぎず太すぎず、ほどよい幅で切られ、魚のうまみと呼応しながらみずみずしく弾ける。
焼き物は、名残の鹿肉とくるみ味噌 柚子胡椒である。
終わりの時期である。だがそのしなやかで少し弱々しい滋味に、気品が漂って、惚れるのだ。
2019.07.07(日)
文・撮影=マッキー牧元