樹木希林が2ショットを望んだ
フランス人俳優の名は?

 2019年は日本作品は現時点でコンペ参加はなしだが(開催直前に作品が増えることもあるが)、昨年はコンペに2本も入っていた。

 もちろん1本目はパルムドールに輝いた是枝監督の『万引き家族』。授賞式以前の取材だったが、すでにこの時点で『万引き家族』は間違いなく大きな賞をとると思っていたし、ご本人にもお世辞抜きでそう伝えたが、素晴らしい結果になってよかった。

 このときはまだ詳細は言えないと言っていたが、すでにカトリーヌ・ドヌーブとジュリエット・ビノシュによる新作『La Verite』(原題。「真実」の意味)の準備に入っていた是枝監督。

 こちらも今年のカンヌでの上映が噂されていたが、まだ編集中とのこと。早く観たい!

 そして『万引き家族』が日本でも大ヒットして本当によかった。今年の東スポ映画大賞でお会い出来なかったのが残念だが。

 監督は前回取り上げた『バーニング 劇場版』のイ・チャンドン監督を敬愛していて、カンヌでもこれだけは観たと言っていた。 

 その『バーニング 劇場版』で謎めいた男を演じたスティーヴン・ユァン。世界中で人気のドラマ「ウォーキング・デッド」のグレン役で一躍ブレイクしたが、まったく浮かれたところのない、穏やかで気さくな人柄。

 映画の中では一転、妖しげな魅力を発していたが、いい人グレンを長年演じて退屈していた部分もあったようだから、良いチョイスだった。カンヌで助演男優賞があったら彼にあげたかった!

 日本映画のもう1本のコンペ作だった『寝ても覚めても』の濱口竜介監督と主演の東出昌大さんと。

 東出さんは、共演の唐田えりかちゃんがレッドカーペットの階段でつまずきそうになると、すかさず手を出して支え、まるでヒュー・ジャックマンかと思ったよ! 取材のときも、ほんと紳士で、気を使ってくれる。

 濱口監督とは取材のあと、町のジェラート屋さんでばったり!

 最後に、昨年亡くなった樹木希林さんのお写真を。『万引き家族』は私の足立区の実家近くでも撮影されていたが、映画の中では本当に近所にいそうなおばあちゃんになっていた。

 囲み取材では、娘さんがファンだというマチュー・アマルリックと写真を撮ってもらった話を楽しそうにしていらした。

 是枝監督や河瀬直美監督の作品で、毎年のようにカンヌ入りしていた希林さん。今年はもういないと思うと淋しい。

 でも映画祭というキャラバンは続く。

石津文子 (いしづあやこ)

a.k.a. マダムアヤコ。映画評論家。足立区出身。洋画配給会社に勤務後、ニューヨーク大学で映画製作を学ぶ。映画と旅と食を愛し、各地の映画祭を追いかける日々。執筆以外にトークショーや番組出演も。好きな監督は、クリント・イーストウッド、ジョニー・トー、ホン・サンス、ウェス・アンダーソンら。趣味は俳句。長嶋有さん主催の俳句同人「傍点」メンバー。俳号は栗人(クリント)。「もっと笑いを!」がモットー。片岡仁左衛門と新しい地図を好む。