まるで芸術作品のような
美しいボンボンショコラ

 ボンボンショコラをご紹介しましょう。

 まずは、5種類の「ハーブ&エピス」シリーズ。

 「ポティロン・カネル」のガナッシュは、神戸・御影のカボチャ専門店Zuccaの「栗マロンカボチャ」とシナモン。

 「カボチャのペーストに米飴だけを加えて炊いて、カカオバターで固めています。カボチャと相性のよいシナモンを加え、隠し味にオレンジの皮も」と丈池さん。消えるような口溶けの後、ほんのりシナモンの香りが残ります。

 「フィグ・ルージュ」は、とても個性的。徳島県産イチジクの赤ワイン煮を、ポルトワインを入れたフランボワーズのガナッシュと組み合わせています。

 クローブ、アニスのスパイスがアクセント。イチジクのプチプチした食感も楽しい。

 「トンカ」は、ベネズエラ産のトンカ豆と産地が同じカカオを合わせたガナッシュを、さらに同じベネズエラ産カカオのチョコでコーティング。「桜餅のような香りが特徴です」と丈池さんはにっこり。

 「バジリク・シトロン」は、兵庫県産の有機無農薬栽培のスイートバジル、淡路島のレモン、オリーブオイルのガナッシュとカシューナッツのプラリネの組み合わせ。バジルの香りがレモンの酸味と風味で引き立ちます。

 「コリアンダー」は、神戸市西区のファームのコリアンダーシードを使用したガナッシュ。「シナモンを加えることで、コリアンダーの香りを引き出しています。僕自身大好きな、JHOICEいち押しのショコラです」。

 もうひとつのシリーズは「アロマ」。香りに注目しています。

 「ほうじ番茶」は、「兵庫県姫路にある井上茶寮さんに選んでいただいた京都府・和束町のほうじ茶・やぶきたとスコッチウイスキーのガナッシュです」と丈池さん。

 ほうじ茶の香ばしさがウイスキーのスモーキーなピート香にぴったりマッチ。ウッディなベネズエラカカオとで余韻を残します。

 「ジャスミン・ライチ」は、ライチのリキュールとジャスミンティーを使っていて、優しい香り。癒される風味です。

 「ローズ・フランボワーズ」は、薔薇のペーストとフランボワーズのコンフィチュール、薔薇茶のミルクガナッシュ。甘酸っぱさと薔薇の香りが口いっぱいに広がり、女性好みの味わい。

 「キャラメル・ノワゼット」は、淡路島・五色浜の「自凝雫塩(おのころしずくしお)」のキャラメルガナッシュとオリジナルのヘーゼルナッツのプラリネ。シャリシャリとした食感と後口の塩キャラメル風味が印象的。

 「アマレット・キャフェ」は、アマレット(杏の核・杏仁のお酒)と深煎りベトナムコーヒーのガナッシュ。口の中にコーヒーの香りと杏仁の風味。オリエンタルな味わいがクセになる。

 それぞれ5種類ずつのオシャレな箱入り。口の肥えたお酒好きにプレゼントしたいショコラです。

 ボンボンショコラ以外にも、丈池さんらしいチョコがあります。

 「カカオショコラ」は、アマンド(アーモンド)ショコラのカカオ版。

 焙煎前と後、丁寧に選別したベネズエラ産カカオをてんさい糖を使ってキャラメルコーティングしてから、同じ産地のベネズエラ産76%のチョコレートでコーティングしています。

 「カカオをそのまま食べてみてほしいんですが、ちょっとクセがある。一度キャラメルコーティングすることで食べやすくし、パリッとした食感にしました」と丈池さん。

 赤ワインやウイスキー、ラム酒、ブランデーとのペアリングを楽しんでほしいと言います。ベトナム産のカカオを使ったものもあり、そちらは「酸味があって、独特のスパイシーな香りが鼻の奥に残る」のだそう。

 「カカオハニー」は、ベトナム産のカカオニブをベトナム産のコーヒーの花の蜂蜜に漬けた一品。パン・ド・カンパーニュに塗ったり、ヨーグルトにかけたりして、シンプルに香りと風味を楽しみたい。

 「ミルキーなブルーチーズに添えて、お酒と合わせてみてください」。日本酒にも合うと丈池さんは言います。

「次は、ホップを使ったショコラを考えています。苦味のある柑橘と合わせる予定です」

 そして、さらに「産地別のカカオ×国産素材のショコラを企画中です。ベネズエラ、マダガスカル、ペルー、ジャワ、ベトナム……。日本の色々な素材と単一同士で組合わせます」と、近い将来の展望を情熱たっぷりに語ります。

「ワインやウイスキー、ブランデーやリキュールと合わせて楽しむ場所が増えたらいいですね」

 神戸市内では、すでに数軒のバーで置かれているそう。チョコとお酒のペアリングをおおいに楽しみたいもの。

 店舗を持たないショコラティエのこだわりチョコを求めるファンが増えそうです。

JHOICE

所在地(工房) 兵庫県神戸市
電話番号 090-6985-2226(丈池)
※工房では販売はしていません。
https://www.facebook.com/JHOICEchocolatier/

宗田洋子(そおだ よおこ)

ライター。神戸生まれの神戸育ち。神戸を離れたことがない神戸っ子。ライター歴30年以上で、関西の雑誌の取材だけでなく全国誌でも関西取材を手がけ、老舗から新店まで回ったお店は数知れず。移り変わる街を見続けてきた。食いしん坊で飲んべえ。

Column

そおだよおこの関西おいしい、おやつ紀行

生まれも育ちも神戸の生粋の神戸っ子で、長年の関西での取材経験からおいしいお店を知り尽くしている、ライターのそおだよおこさんが、関西の「今、食べてほしい!」というおやつを紹介します。

2019.02.10(日)
文=そおだよおこ
撮影=上田浩江