神戸市灘区から東灘区の山手は、閑静な住宅街。そんなエリアで口コミで話題になっているのが、2017年にオープンしたパン屋さん「ブーランジュリ・オノ」です。
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阪急神戸線王子公園駅から水道筋商店街を抜けて、山手に向かって歩くと、「パンやいてます」の看板。
ガラス張りの店の奥の厨房で、オーナーシェフの小野寛さんがひとり黙々とパンを焼いています。平台に並んだパンは、種類は多くありませんが、こんがり焼き込まれたハード系がメインで、それぞれ表情がしっかりしており、見ただけでどれも食べてみたくなる。
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右:イートインスペースもあります。
小野さんは1982年、広島県生まれ。「フリーターでした。スノボが好きで、北海道や長野へしょっちゅう行っていた」と微笑みます。
ケガを機に、手に職をつけようと、神戸の老舗「フロインドリーブ」に就職。パンのバリエーションを作る技を身に付けたいとベーカリーレストランへ移り、その後、オープンしてまもないホテル系の「ル・パン神戸北野」へ。
そして、「住宅街で日常的に食べられるパン屋をしたい」と、2017年3月19日、自店をオープン。マイペースで、日々、こだわりのパンを焼き続けています。
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右:パンを焼く小野寛さん。
小野さんのこだわりのひとつが、自家製粉。「挽きたての全粒粉を使いたかった。最初、えぐみが出てしまい、挽き方を変えたり、ふるったり……。工夫を重ねました。パンの風味が変わったし、キレが出たと思う」とにっこり。
もうひとつのこだわりが酵母。ルヴァン種、サワー種、ヨーグルト種を使っている小野さん。さらに、緑茶酵母で、ハードトーストやフォカッチャを作っています。
「ひとりで作るので、たくさんの種類や量はできませんが、自分らしいパン作りをしていきたいんです」
まずは、おやつに食べたいハード系のパンをご紹介しましょう。
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手に持つとずっしり重い「パン・オ・フリュイ」。季節毎に変わるフルーツをたっぷり使ったパンで、取材時は「サクラとチェリー」。フランボワーズを入れたルヴァン生地に、クランベリー、ブルーベリー、ピスタチオ、ドライアプリコット、ドライリンゴがたっぷり。フルーティで華やかな味わいで、まるでケーキのよう。香り豊かな紅茶を合わせたい。
夏には、マンゴーやパイナップルを使ったトロピカルな味わいにするのだとか。季節を感じる楽しいパンです。
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「リンゴとクルミとカマンベールのカンパーニュ」は、国産のドライリンゴ、クルミ、カマンベールチーズとルヴァン生地の相性が抜群。ワインに合わせてつまみたい。
ベースとなる「パン・オ・ルヴァン」は、有機全粒粉20%、有機ライ麦粉35%使用。挽き方を変えた粉を合わせて、風味と食感に特徴を出しています。自家製粉しているからこそできる生地なのです。
アマニやオーツ麦、金ゴマ、ヒマワリの種、カボチャの種といった雑穀を入れた「パン・オ・セレアル」。その生地を使ったおやつ向きのパンもあります。
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「カカオ・セレアル」は、ヴァローナのチョコレートを使用。芳醇な香りで、プチプチ食感も楽しめます。コーヒーや赤ワインにぴったり。
「フィグ・エ・セレアル」は、カカオニブ、カカオパウダー、赤ワインを入れた生地で、有機イチジクの赤ワイン煮を包んでいます。周りにまぶした金ゴマが香ばしさをプラス。贅沢な味わいにびっくりします。
「ハルユタカのバゲット」の生地は、北海道産強力粉ハルユタカ100%。もちっとしていて食べやすいとファンも多く、長・短の2種類があります。
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小野さんおすすめのパン「トルデュ」は、日本人向けのバゲットとして作ったのだそう。むっちりした生地で、噛む程に小麦の風味と旨みが広がります。
「くるみのリュスティック」は、トルデュと同じリュスティック生地にクルミをたっぷり入れたもの。香ばしくコリッとした歯触りもいい。
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2018.04.22(日)
文・撮影=そおだよおこ