これまでのイメージも裏切る
出演映画『黒蝶の秘密』
――昨年公開された映画『スレイブメン』など、復帰後、映像のお仕事も精力的にやられていますが、いかがですか。
『スレイブメン』に関しては、じつは事務所で井口昇監督のワークショップを行っていたんです。そこで、ゾンビの役をやったり、ほかでは味わえない井口監督の特殊な世界観に魅了されたので、現場では何も戸惑わずにやれましたね。あと、リハーサルで監督自身が演じてくれるんですが、それが面白すぎて、僕が超えられないのが悩みでもありました。ただ、コミカルな演技をする場合も、以前に比べて、いろいろ考える余裕ができたかもしれません。
――最新出演映画『黒蝶の秘密』では、染谷俊之さん演じる主人公にアパートを紹介するキーパーソン、不動産業者・岡崎を演じられています。
今回、三度目の共演となる染(谷)さんに「大家さんもいい人だし、いい物件ですよ」と紹介している感じは、これまでの僕のイメージ通りだと思うんですよ。その後に「今すぐ出てけ」と言うようなところからは、今までの中村優一では見られなかったお芝居が見られるかもしれません。雨の中で倒れているシーンは、本当に寒かったんですが、そのあいだ染さんが僕にずっと傘をさしてくれて……嬉しかったですね(笑)。舞台など、ほかの現場でも、染さんはその場の雰囲気や空気を読むのが早い人だというのは分かっていたので、後から参加する僕も安心して現場に臨めましたね。
2018.11.02(金)
文=くれい響
撮影=佐藤 亘