「火サス」がサブタイトルに
決して使わなかった言葉

速水 ちなみに湯けむり全盛の時代って、テレビで女性の裸はさほど珍しいものではなかったわけですよね。中学時代は2時間ドラマにおっぱいぽろりを期待してましたけど、10代の後半だと、もうさほど期待してなかったように記憶してます。あ、違ったかな?(笑)

大野 でも、ストーリー展開と関係なく「10時またぎ」のためっていうだけで裸を出すことへの苦情の電話はたくさんかかってきて、局の上司からの締め付けも厳しかったみたいです。でもプロデューサーがそれと闘って、ぽろりを続けたという話を聞きました。

速水 それでも「混浴露天風呂連続殺人」シリーズは、2007年で終わるんですけど、その頃にはテレビで女性の裸を映すのは難しい時代になってましたよね。スポンサーの意向とかが強くなる時代。

大野 でも番組を打ち切るときにプロデューサーはそういうことを一切言わなかったんですよ。最終作の森山浩一プロデューサーいわく「日本にはもう秘湯がなくなった」からやめるんだと。

速水 おー、いい話ですね。「おっぱいぽろりが許されなくなった」からとは言わない。

大野 あくまで番組の役割を終えたからやめるんだって。

速水 素晴らしいプロデューサー! 一本筋が通ってますね。

大野 ちなみに2時間ドラマってお色気ばっかりやっていたという印象が強いかもしれませんが、火サス(日本テレビ系)には「湯けむり」と付くタイトルが出てこなかったんですね。

速水 え、そうなんですか!?

大野 「露天風呂」「美女」や「美人」もサブタイトルに使ってないんですよ。火サスのスタッフの方が言っていましたが、お色気シーンへのクレームの電話は一度もなかったと。

速水 意外な事実。

2018.10.14(日)
構成=速水健朗
撮影=深野未季
写真=文藝春秋