独立型ヴィラの集合スタイルが登場
今でこそ、Airbnbなどの民泊システムが周知され、宿泊する一軒家へ直接行くことへの抵抗も低くなりましたが、ホテル滞在が主流の当時、一軒家を借りることはなかなかハードルが高いものでした。
しかもメイドさんなどのスタッフを使いこなすのは、気を遣いがちな日本の旅行者にとっては慣れないもの。
そこでお目見えしたのが、レセプションを置き、数棟の独立型のヴィラが集合したスタイルです。やがてレストランやスパを備えたものも登場し、いわばホテルとバケーションレンタルのいいとこ取りのスタイルが生まれたのです。
ヴィラも進化しました。石塀で囲まれた各戸は、セミオープンなリビングにプール付きはもちろん、ダイニングには最新のフルキッチンを用意、寝室にはロマンティックな天蓋付きのベッドを置き、バスルームには開放感たっぷりの屋外シャワーも併設。
朝食はスタッフがリクエストした時間にヴィラへ訪れ、キッチンで調理してくれます。ランチやディナーはキッチンを利用しての自炊やケータリングが利用でき、買い出しや出前のオーダーをスタッフにお願いすることも。
この頃に今のヴィラの原型が作られたように思います。
ヴィラが増えると同時に、ラヤ・スミニャック通りには海外からの移住組がデザインしたセンスのいいブティックが次々と登場、オベロイ通りには本場の味を再現したトラットリアや海外で活躍している日本人シェフによる創作和食、モロッコ料理店などが開業し、外国からの珍しい輸入食材店も誕生。
時代は流れ、在住者のみならず、ツーリストたちもスミニャックへと北上するようになりました。
2018.04.21(土)
文・撮影=古関千恵子