“2.5次元”において
人気キャラを演じること

――そして、2011年に「仮面ライダーフォーゼ」にゲスト出演して俳優デビューされますが、当時の気持ちは?

 そのときはまだ仙台にいて、最初に受けたオーディションだったんです。現場はとにかく楽しかったですし、それを全国の方に観てもらえるなんてスゴいことだと思って舞い上がっていたんですけれど、OAを観たらあまりにヘタすぎたんです。それで悔しい気持ちになって、もっと頑張ろうと思い、本格的に上京することを決めました。

――そして13年、ミュージカル「忍たま乱太郎」で初舞台を踏み、翌14年には若手俳優の登竜門としても知られる「ミュージカル・テニスの王子様2ndシーズン(以下、テニミュ)」で財前光を演じます。

 当時は映像をやりたい気持ちの方が強かったんですけど、食わず嫌いはいけないことだし、何事も経験だと思っていました。最初は原作のファンの方に、めちゃめちゃ叩かれましたね。そのいちばんの理由は「キャラに似てない」ということ。原作のカッコいいキャラを3次元の自分が演じることのハードルの高さは、相当でしたね。また、「テニミュ」の財前役に関しては実質3代目になるので、前のおふたりと比べられることも多かったです。

――その“2.5次元”と呼ばれる舞台におけるキャラを演じるうえでの問題や悩みを、どうクリアされていったのでしょうか?

 いくら、口で「頑張ってます!」と言っても伝わらないので、誠心誠意、全身全霊でやって、結果を残すしかなかったですね。そのために「俺はこのキャラクターをこれだけ愛しています」ということを、舞台上で提示していました。キャラクターに対して敬意を払うという考えは今でも変わりませんし、全員とは言わないまでも、ひとりでも多くのファンの方に満足してもらいたいという気持ちで演じています。

2018.01.12(金)
文=くれい響
撮影=橋本 篤