地中海を彷彿とさせる高級住宅街
1920年代に誕生したコーラルゲーブルズは、ジョージ・メリックという人物が、“地中海”をコンセプトに創り上げた高級住宅街。こちらも独立した市で、マイアミ・デイド郡には30以上の市があるとか。
コーラルゲーブルズではおよそ100年の年月を経たバンヤンツリーの並木道が濃い影を落とし、豪邸群を目隠ししています。すべての通りの名はスペインの町の名前に由来したもの。この住宅街にはかつてシルベスター・スタローンやマドンナも邸宅を構えていたといいます。
スペイン調のタワーが青空にそびえるビルトモアホテルは、ジョージ・メリックがコーラルゲーブルズのランドマークにしようと1926年に建造。アル・カポネの定宿であり、敷地内の庭園は映画『007』の舞台にもなっています。ちょっとハードボイルドですね!?
住宅街にそそり立つ宮殿のようなホテルを前にすると、今、どの時代の、どこにいるのか、改めて確認したくもなります。
マイアミはカリブ海の玄関口。そのため中南米からの移民が多く、人口の半数がスペイン語圏の人々です。
マイアミ市のダウンタウンの西部に位置するリトルハバナは、キューバ革命以降に祖国から逃げてきた人々が移り住んだコミュニティ。カジェ・オチョ(「8番街」の意味)には、製作のデモンストレーションを行う葉巻店や、キューバ料理レストランなどが軒を連ねています。
昼間から真剣に牌をにらむキューバ人男性が集っている一角が、ドミノ広場。おそらく麻雀のように引き当てた牌の組み合わせによって勝敗が決まるようで、見物しているだけでも面白い。葉巻をくわえながら牌を操る男性を見ていると、まるでオールドハバナに迷いこんだ気分です。
2017.08.26(土)
文=古関千恵子