4本の手に癒される
極上のマッサージ
ハードが最高級ならば、中身もそれに追随する。レストラン「サンカール」は、インドネシア料理を中心にして洗練された品々を供する。朝はバイキングが素晴らしい。ナシゴレンやミーゴレンなどの単品も充実しているのが嬉しい。
それに加えて、2017年5月から、従来のイタリアン・レストランが、東京・銀座のミシュランスターシェフであるルカ・ファンティンの主導のもと、「イル・リストランテ ルカ・ファンティン」となって新たにオープンした。これについては次回にその詳細を紹介したい。
バリといえばスパと、条件反射のように連想する女性も多いだろう。その期待にたがわず、壮麗なホリスティックヒーリングセンター「ザ・スパ」がある。
ジャワ中部から移築したアンティークな“ジョグロ”ハウスがレセプションとなっているが、この優美な空間で受け付けを済ませ簡単な問診を受けるだけで、気分は昂揚することだろう(日本語の案内もある)。あとに待ち受けるのは、インドネシアの伝統的な治療マッサージと現代のスパ技術を融合させた、スパマニアでも納得するトリートメントだ。
空調の整った室内もいいが、おすすめはオープンエリアのトリートメントルーム。彼方には空と海との境界が溶け合うような紺碧が広がり、木々のさざめきと鳥のさえずりが耳にうるわしく、ときおり過ぎてゆく海風が肌を撫でてゆく。もちろんカップルルームも完備。施術には6人の熟練のセラピストが常時待機している。
メニューは多種多様。バリ式ボディマッサージはもちろん、タイ・マッサージ、海藻やハーブ配合の粘土を使ったボディーラップ、フェイシャルトリートメントなどなど、どれにするのか困るぐらい。
中でもおすすめは、息の合った2人のセラピストが同時に行うフォーハンドマッサージ(2時間/4,875,000インドネシアルピア=約40,000円)。アロマティックエッセンスたっぷりのオイルを使ったマッサージは、身体ももちろん、顔や頭皮も揉みしだき、身も心もとろけさせる。
また、「ブルガリ ブティック」では、バッグ、フレグランス、サングラス、スカーフといった定番の品を取り揃えている。さらにもう一つの「アーツ&クラフツショップ」には、バリの伝統工芸品が並ぶ。バリスタイルのリネンのシャツ、スカート、ワンピース、シルクのストールなどはシャレた南国風で、驚きの廉価で手に入るから見逃せない。
ほかにも、傍らでの午睡がいかにも気持ち良さそうなパブリックプールがあり、食事もできるラウンジバーでは昼はいかにも南国らしい陽ざしがさしこみ、星空を眺める夜は思わず長居をしてしまう。また、「ブルガリ チャペル」も2015年10月にお目見えした。ここでのウエディング・セレモニーはまさに一生の思い出となることだろう。
さて、夕食を終えてヴィラに戻れば、フランジパニの花弁が浮かんだフラワーバスが用意され、その細やかな心配りには感激するだろう。ターンダウンされたほのぐらい室内は、静謐にしてそこはかとない淫靡さをかもしだす。
最後に、スタッフの一人一人が上質なホスピタリティを持ち合わせていることにも触れておきたい。
ニコッと振り撒かれる笑顔のシャワーは、上等なリゾートの証でもある。敷地の中だけでバカンスはコンプリートしてしまい、外に出かける気が失せてしまうのだ。時が過ぎ行くのが惜しい、去る日が近づくにつれて離れる辛さが募ってくる。
そして、帰国して数週間が経っても、ここで過ごした愉楽のかけらを体内に感じることができる。ユーフォリア(多幸感)は長く続くのである。そんな魔力に満ちたリゾートホテルはそうあるものではない。
Bulgari Resort Bali
(ブルガリ リゾート バリ)
所在地 Jalan Goa Lempeh Banjar Dinas Kangin, Uluwatu Bali 80364
電話番号 0361-847-1000
客室数 59室
料金 オーシャンビュー・ヴィラ 10,164,000インドネシアルピア=約85,000円~(税・サービス料込み)
アクセス デンパサール国際空港から車で約40分
施設 レストラン×2、バー、スパ、チャペル、ボードルーム、フィットネスルーム
http://www.bulgarihotels.com/ja-JP/bali/
【日本での問い合わせ先】
ブルガリ ホテルズ&リゾーツ予約センター
(マリオット・インターナショナル 東京予約センター内)
フリーダイヤル 0120-070-350
2017.06.21(水)
文=文藝春秋 増刊・ムック編集部