ここ1、2年の間に誕生したバリ島のリゾートには、圧倒的な景観や、ユニークなアクティビティなど、他では体験できない独自の個性を打ち出したところが多いもよう。この特集では気になる新リゾート5軒をピックアップ。進化を続けるバリ島のリゾートシーンの、今が見えてくる。

vol.01 星のやバリ

“聖なる川に向かう運河の集落”

熱帯のジャングルの中に浮かんだような「カフェ・ガゼボ」。

 憧れのホテルブランド“星のや”の6軒目にして、初の海外進出となる「星のやバリ」が2017年1月20日(金)、ついに開業した。遊び心をちりばめつつ細部までこだわり抜いた仕上がりは、オープンを長らく待った甲斐があるというもの。

 カルチャーの中心地である山間部ウブドの郊外、熱帯のジャングルに抱かれた渓谷に位置。バリ島が世界文化遺産に選ばれた理由である“スバック(流水の分配)”の哲学や世界観を、建築やランドスケープデザインに投影し、「星のや」ならではの手法でバリ島の魅力を伝えている。

スバックシステムを象徴するような、運河プールの周囲にヴィラが点在。

 「星のやバリ」のコンセプトは、“聖なる川に向かう運河の集落”。渓谷を見下ろす丘の上の、最大70メートルの「運河プール」は、まるで棚田に水を供給する水路のよう。このプールの周囲に、独立型ヴィラが点在している。

 アランアランで葺いた屋根のヴィラは、壁一面に精緻なカービングが施され、くつろげるガゼボも用意。各戸から直接プールへアクセスできるのもポイントだ。

バリ島らしさの中に、ひとさじの和情緒も感じるヴィラは3タイプ。

 木々の合間に浮かんだような、7つの箱型スペースの「カフェ・ガゼボ」は、見た目のインパクト大! 遥か下から清流のせせらぎが届き、葉擦れの音や鳥のさえずりなど、サラウンドに渓谷の自然が感じられる。

 メニューは、インドネシアの地ビールやバリの熱帯気候に合わせたマンゴーやパッションなどのスムージーをラインナップ。また、バリ島の挨拶にもみられる、4つの時間帯“朝・昼・夕方・夜”に合わせたスペシャルなドリンクや軽食が用意されている。

各ヴィラの壁を飾る、カスタムメイドのみごとなカービング。

 ダイニングでは、地元の食材を使い、10皿におよぶコースの中で多種多彩なフレーバーをストーリーで繋いでいく、新しいスタイルのバリ料理を提供。サンバル(辛味調味料)が効いた9種のお造りや3種の特製ソースで楽しむ牛フィレ肉など、どれも美味。そして渓谷の眺めが、さらに美味しく感じるスパイスに。

カフェ・ガゼボの内部から見た、ウブドの森の風景。

 オリジナルのアクティビティは素朴なバリ島に触れられるものが中心。市場で朝食用のフルーツを仕入れたり、お供え物“チャナン”作りを体験したり、東海岸の隠れ家ビーチへ1デイ・エクスカーションにでかけたり。星のやならではの、遊び心や仕掛けが期待できそう。

星のやバリ
所在地 Br. Pengembungan, Desa Pejeng Kangin, Kecamatan Tampaksiring, Gianyar 80552 Bali
電話番号 0570-073-066(星のや総合予約)
http://hoshinoyabali.com/

古関千恵子 (こせき ちえこ)
リゾートやダイビング、エコなど海にまつわる出来事にフォーカスしたビーチライター。“仕事でビーチへ、締め切り明けもビーチへ”をループすること1/4世紀あまり。世界各国のビーチを紹介する「世界のビーチガイド」で、日々ニュースを発信中。
「世界のビーチガイド」 http://www.world-beach-guide.com/